2008 Fiscal Year Annual Research Report
人為起源の温暖化シグナルの検出を目指した気候の長期内部変動に関する数値実験的研究
Project/Area Number |
18310016
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野沢 徹 National Institute for Environmental Studies, 大気圏環境研究領域, 室長 (10311325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永島 達也 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 研究員 (50391131)
塩竈 秀夫 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, NIESポスドクフェロー (30391113)
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Keywords | 気候変動 / 統計数学 / 温暖化要因推定 |
Research Abstract |
気候の揺らぎである長期内部変動が、外的な気候変動要因によりどの程度変調し得るのかを明らかにすることを目的として、大気海洋結合気候モデルを用いた、過去150年間を対象とした多メンバーアンサンブル実験データの解析を行った。気候の揺らぎに相当する長期内部変動成分は、人為起源の気候変動要因のみ考慮した場合、自然起源の気候変動要因のみ考慮した場合、すべて(人為起源および自然起源)の気候変動要因を考慮した場合、一切の気候変動要因を考慮しなかった場合(すなわち、コントロール実験)、の4ケースの数値シミュレーション結果に対して、初期値の異なる10メンバーのアンサンブル平均値からの偏差を求めることにより、時空間変動の情報を保持したまま抽出した。長期内部変動の差異を統計的に検定するため、時空間変動を考慮した統計解析手法を、上述のようにして求めた4ケースの長期内部変動成分に適用した結果、各実験間に統計的に有意な差異は認められなかった。このことから、気候の揺らぎである長期内部変動は、外的な気候変動要因による著しい変調を受けないと考えられる。ただし、解析対象とした気候モデルの水平解像度が約280kmとあまり細かくないこと、また、過去150年間における外的な気候変動要因の変化があまり大きくないこと、などにより、気候システムの非線形性があまり顕著ではなかったために、長期内部変動の変調が確認されなかった可能性も否定できず、今後も引き続き検討を進める必要がある。自然起源の気候変動要因のみに起因する長期変動に関しては、過去1000年程度の気候再現実験を実施し、30年の移動平均からの偏差を求めることにより、長期変動の変動幅を推定した。
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Research Products
(1 results)