2007 Fiscal Year Annual Research Report
雲とエアロゾルによる放射変動が陸域生態系の炭素収支と同位体効果に与える影響の解析
Project/Area Number |
18310018
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
DENNIS Dye Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, グループリーダー (80392968)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 昭彦 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 研究員 (70344273)
小林 秀樹 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (10392961)
加藤 知道 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (60392958)
|
Keywords | 大気現象 / 地球観測 / 地球変動予測 / 環境変動 / 光合成有効放射 / 光合成 / 熱帯林 / 高原草地 |
Research Abstract |
本年度は,PAR(光合成有効放射)の変動と陸域光合成や大気と陸面の二酸化炭素交換に関する解析を行った。その中でも重要な研究テーマとして,全天および散乱PARの観測を複数の異なる環境で実施した。昨年度より実施している中国国内の青海-チベット高原の海北サイト,タイ国北東部のピマーイサイト,西カリマンタンのプッシバウサイトにおいて,継続してデータを収集した。また,チベットサイトでは,炭素収支を把握するために,植生調査,リモートセンシングデータの検証データ取得,同位体サンプルの収集などを行った。PARの日変化や日々の変動をプッシバウサイトで詳細に検討したところ,非常に強い全天PARが観測された。データの更なる解析の結果,これは雲の不均一な分布が地表面に入射するPARを増加させていることが明らかとなった。例えば,日中の時間の21%において,快晴時より10%以上全天PARが増加していた。また,日中の時間の86%において,快晴時より120%以上の散乱PAR成分の増加がみられた。散乱PARの影響を考慮した雲分布に起因するPARの増加の観測データは,おそらく世界で初めてのものと思われる。雲の増加に起因するPARの増加が森林の群落スケールの光合成に与える影響をモデルで調べたところ,熱帯地域では光合成速度が11-12%増加することが明らかとなった。このように本年度の結果から,熱帯林の光合成有効放射の吸収量と炭素循環に関する新しい知見が得られた。
|