2008 Fiscal Year Annual Research Report
立山・亜高山帯における大気を中心とした物質動態・化学変化プロセスと生態系相互作用
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18310022
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Research Institution | Toyama Prefectual University Junior College |
Principal Investigator |
渡辺 幸一 Toyama Prefectual University Junior College, 准教授 (70352789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 英治 富山県立大学短期大学部, 富山市科学博物館, 学芸員 (10373482)
久米 篤 九州大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (20325492)
青木 一真 富山大学, 大学院・理工学研究部, 准教授 (90345546)
川田 邦夫 富山大学, 極東地域研究センター, 教授 (20019003)
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Keywords | 立山 / 大気汚染 / エアロゾル / 酸性雨 / 植生影響 / バックグラウンド黄砂 / 積雪 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
立山において、微量気体成分濃度、硫酸塩粒子濃度、エアロゾル粒子粒径別個数濃度の測定を行なった。硫酸塩粒子濃度やエアロゾル粒子個数濃度が高くなる現象が観測され、大陸起源の大気汚染物質の影響を受けていた可能性が強く示唆された。霧水、露水、降水を室堂平(標高2450m)、弥陀ヶ原(標高1930m)、美女平(標高977m)などで採取・化学分析を行った。秋期室堂平で採取した霧水中の化学成分から、2008年は大陸起源汚染物質の影響が大きかったものと考えられた。また、室堂平で採取した露水から高濃度の過酸化水素が検出され、植生への影響も懸念される。さらに、超微小粒子粒径分布の測定を行い、立山黒部アルペンルート通行車両の影響や越境汚染の影響について検討した。 2008年4月下旬には、室堂平において全層にわたる積雪断面観測を行い、層位構造等の観測やイオン成分、過酸化物などの分析を行なった。夏期から秋期に採取した降水と積雪中の化学成分の測定結果から、室堂平での降水中の化学成分に大きな季節依存性が示された。 富山市と立山・浄土山に設置したスカイラジオメータによる観測データから、夏期や秋期のバックグラウンド黄砂の影響について検討し、2006年にその影響が大きかったことがわかった。 アルペンルート沿いのブナ平の森林で観測された大気汚染データ解析から、観光バス排気ガスの影響は確認されるものの、広域大気汚染の影響を強く受けていることが確認された。特に、秋から冬にかけてのオゾン濃度の上昇は顕著であり、ブナの衰退の原因として、アルペンルートなどローカルな影響より、長距離輸送されてくる越境汚染物質による影響が大きい可能性が示唆された。さらに、2007年に引き続き、立山高山帯における大気から植生への湿性・乾性沈着量の評価を行った。2008年においても、夏季においては霧などの湿性沈着が重要な影響を及ぼしていること、立山・浄土のハイマツ林における大気からの窒素負荷量は、富山市内に匹敵するかそれ以上であった。
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Research Products
(5 results)