2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境における微量DNA損傷に対するヒト細胞応答機構の解明
Project/Area Number |
18310037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 清 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40200133)
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Keywords | DNA損傷 / 損傷応答 / 染色体 / DNA複製 / 放射線 |
Research Abstract |
相同組換え修復にRad51とともに関与するXRCC3のヒト変異細胞では、染色体の倍加が自発的に増加することによって染色体の数的異常である異数体が増加する。この変異細胞ではRad51を中心とする相同組換え修復機能が低下している。そのため、自発的に発生するDNA損傷が修復されないまま損傷応答情報伝達系を活性化するために、自然環境における微量DNAの細胞への影響をみる一つのよいモデルとなる。そこで、この細胞を用いて染色体の数的異常とDNA損傷との関係を検討した。この細胞においては細胞分裂には大きな異常が観察されないために、DNA再複製の頻度が亢進している可能性を考えて、複製のライセンシングの関わる分子の量的変化を検討した。Cdt1の安定化を蛋白質合成を阻害することによって検討したところ、XRCC3の有無により変化は観察されなかったが、実験に使用している大腸がん細胞株HCT116では長時間経過してもCdt1は分解されなかった。この現象がHCT116に特異的な現象であるかどうかをみるために正常及びがん細胞株で検討したところ、正常細胞に比べてがん細胞では分解されずに安定化する傾向がみられた。次にCdc6の細胞内局在を検討したところ、XRCC3変異細胞では野生株に比べて核内に集積する程度が強いことが明らかとなった。これらの結果から、XRCC3の機能が低下した場合にはCdt1とCdc6が協調してDNA再複製に寄与することが想定された。一方、XRCC3の有無により細胞周期の分布には大きな変化が生じなかったことより、DNA再複製と損傷応答情報伝達系との関係については現在のところ明らかではない。
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Research Products
(5 results)