2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線によるゲノム不安定化の記憶と伝搬のメカニズム解明
Project/Area Number |
18310040
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児玉 靖司 大阪府立大学, 産学官連携機構, 教授 (00195744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 一乗 大阪府立大学, 産学官連携機構, 助手 (40347513)
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Keywords | 放射線 / ゲノム不安定化 / 染色体異常 / 染色体移入 / 非標的影響 |
Research Abstract |
放射線による染色体異常生成は、発がんにおけるゲノム不安定化のメカニズムを知る上で、貴重な情報を提供するものである。放射線による染色体不安定化の特徴は、被ばく細胞だけでなく、その子孫細胞にも染色体不安定化が生じることである。このような、いわゆる放射線による非標的染色体変異の記憶と伝搬のメカニズムを探るために、被ばくヒト染色体を被ばくしていないマウス受容細胞に移入し、その安定性についてヒト染色体特異的な蛍光DNAプローブをハイブリダイゼーションさせる手法で解析した。その結果、被ばくしていないヒト染色体を移入した場合には、6個の染色体移入細胞において、全て安定に保持されることが分かった。このことは、染色体移入実験それ自体によって、移入された染色体が不安定になることは無いことを示している。これに対して、4Gyまたは6Gy被ばくしたヒト染色体を移入した5個の染色体移入細胞のうち4個において、移入ヒト染色体は不安定であった。被ばくヒト染色体自体の不安定化に加えて、被ばくヒト染色体と染色体受容細胞であるマウス細胞の染色体との転座も生じていた。この結果は、放射線によるゲノム不安定化が、1本の被ばく染色体によって非被ばく細胞に伝搬され得ることを示している。さらに、この結果は、ゲノム不安定化の原因は被ばく染色体自体にあり、しかも放射線による非標的影響によって引き起こされるものであることを示唆している。
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Research Products
(2 results)