2007 Fiscal Year Annual Research Report
野生高等動物における残留性有機ハロゲン化合物の蓄積・代謝特性の解明と影響評価
Project/Area Number |
18310046
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 真 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30370266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
磯部 友彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, COE教員(客員准教授) (50391066)
滝上 英孝 国立環境研究所, 循環型社会・廃棄物研究センター, 主任研究員 (00353540)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / PCB / PBDE / HBCD / 水酸化PCB / 代謝 / 薬物代謝酵素 / CYP |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、野生高等動物の臓器・組織に蓄積する有機ハロゲン化合物(PCBs、PBDEs、HBCDs)の詳細な異性体測定を行い、その蓄積・代謝特性を解明した。とくにカワウとその餌生物等を対象として、PCBs、PBDEs、HBCDsの異性体蓄積パターンと生物濃縮係数(BMF)を解析した結果、PBDEsやHBCDsはPCBsよりも概してBMFが低いこと、また、その値が異性体によって大きく異なることが示された。すなわち、本研究の成果により、類似構造を持つ有機ハロゲン化合物でも、置換ハロゲン種や異性体構造により、代謝・排泄メカニズムの異なることが明らかとなった。 また、PCBsの代謝産物である水酸化PCBs(OH-PCBs)の測定を鯨類や陸棲哺乳動物の血液試料を対象に実施した。その結果、全ての血液試料からOH-PCBsが検出され、多様な野生高等動物にOH-PCBsが残留していることが明らかとなった。またOH-PCBsの異性体組成について生物種間差を解析したところ、鯨類においては、陸上の高等動物よりも低塩素化異性体の割合が高いことが示された。加えて、OH-PCBs以外にもペンタクロロフェノール(PCP)などが野生高等動物の組織から検出された。よって、低塩素化OH-PCBsやPCPの同定・定量に適した分析法の改良に取り組んだ。 さらにin vitroの代謝試験法開発では、バイカルアザラシのCYP1A1の全長cDNAクローンを用いて、その蛋白質を酵母で発現させることに成功した。この酵母からミクロソームを調製し、各種基質の代謝試験(ARODアッセイ)を実施したところ、EROD活性が卓越しており、その代謝力はヒトより弱く、ミンククジラよりも強いことが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)