2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18310048
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
冨永 伸明 Ariake National College of Technology, 物質工学科, 教授 (30227631)
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Keywords | 線虫 / C. elegans / エコトキシコゲノミクス / CYP / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究は,線虫(C. elegans)をモデル生物に用い,重金属をはじめとした化学物質が及ぼす影響を例として毒性学,生化学,分子生物学的に多角的に明らかにし,毒性発揮に対する詳細なメカニズムを解析する手法の確立およびエコトキシコゲノミクスとして分子レベルで総合的判断するための基盤技術を開発することを目的とする. 本年度は,昨年度までの成果に基づき線虫をモデルとしてマルチエンドポイントによる毒性影響評価とカスタムDNAマイクロアレイによるCYP遺伝子群の発現変動を新規POPsである有機フッ素化合物を評価した.有機フッ素化合物は線虫に対して急性毒性はほとんど示さないが,成長・繁殖毒性を示した.その影響はPFOSが最も強くテロマーアルコール類は比較的弱いことが分かった.PFOSおよびテロマーアルコールでCYP13Aのサブファミリーの誘導が見られ,PFOSによって最も多くの遺伝子の発現が誘導された.誘導されたCYP13A遺伝子ファミリーはヒトCYP3A4誘導剤リファンピシリンでも誘導されることから,ヒトに対する毒性と相関性が見られる可能性が高いと考えられる.また,テロマーアルコールを暴露した線虫の体内にPFOAがGC-MSによる化学分析で検出されたことから,体内に取り込まれたテロマーアルコールは,PFOAに代謝されていると考えられ,CYP遺伝子によって代謝されている可能性があることが示唆された.さらにヒトCYP分子種誘導剤による線虫CYP遺伝子群の発現変動データを用い,Torus self-organization法による線虫とヒトのCYP遺伝子ファミリーのマップの作成を行ったところ,発現が上昇あるいは下降する特定の遺伝子群が存在することが分かった.
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Research Products
(6 results)