2007 Fiscal Year Annual Research Report
微生物機能解析に基づく生物学的環境修復技術の新展開
Project/Area Number |
18310051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内山 裕夫 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00185042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 暢彦 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60292520)
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Keywords | 揮発性有機塩素化合物 / 油汚染 / バイオレメディエーション / 安定同位体 |
Research Abstract |
バイオレメディエーション技術の新たな展開に必要とされる「浄化作業期間の正確な推定技術の開発」及び「浄化能力の向上化」に取り組むため、本研究では、新たな解析手法であるSIP(stable isotope probing)法を用いて、土壌地下水汚染物質であるテトラクロロエチレン等の揮発性有機塩素化合物及び油の分解を担う機能微生物を検索・同定し、それらの挙動を把握する技術の開発を行う。本年度は、油分解系の確立と共に揮発性有機塩素化合物の分解過程をSIPによって解析した。まず、代表的な油構成成分であるトルエンとベンゼンについて安定同位体化合物を用い、それらの自然界におけるナチュラルアテニュエーションの場として考えられる嫌気条件下で分解反応を行った。その結果、ベンゼンについては明確な分解が認められなかったがトルエンは分解され、SIPを用いた実験系が確立された。本系を用いた解析の結果、^<13>Cを同化してDNAに取り込んだ微生物群として硫酸還元菌やフェノール分解菌が検出され、分解の主力を担っていることが推察された。次いで、揮発性有機塩素化合物の分解に関与する微生物の検討を行った。^<13>C-テトラクロロエチレン(PCE)を用いた分解実験の結果、供試した嫌気的土壌ではPCEを同化代謝によって分解する微生物は極めて少数であり、殆どは異化代謝によって分解される可能性が示唆された。そこで、安定同位体で標識した生育炭素源を用いる新たな手法Stable Isotope Differential Probing(SIDP)法を考案し、その手法の開発を行い、本手法によってDehalobacter等の脱ハロ細菌の存在を明らかにすることが出来、異化的分解反応の解析に有効であることが示された。
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