2006 Fiscal Year Annual Research Report
光と熱に応答する高分子スピロピランを用いた重金属イオンのセンシングと回収法の確立
Project/Area Number |
18310061
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
鈴木 隆之 東京電機大学, 工学部, 助教授 (20257215)
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Keywords | 環境技術 / 環境材料 / 環境分析 / 高分子構造・物性 / 光スイッチ |
Research Abstract |
光と熱に可逆的に応答する高分子に架橋構造を付与し、水中でゲル化することに成功した。この高分子ゲルは、スピロピランアクリレートとN-イソプロピルアクリルアミドの共重合体で、架橋していない場合と同様に29℃を下限臨界温度として示した(下限臨界温度はスピロピランアクリレートとN-イソプロピルアクリルアミドのモル比が98:2mol%比の場合)。ようて、この温度よりも高温側では収縮し、低温側では膨潤する挙動を繰返し観測することができた。次に、この高分子ゲルを水中に静置し、過塩素酸鉛を水中に溶解させると、高分子ゲルが脱水状態であってもゲルは黄色に呈色し鉛イオンの吸着を示唆した。また、この状態でのゲル周りの鉛イオン濃度を矩形波ボルタンメトリにより精密定量し、鉛イオンの吸着を確認した。この状態で可視光を照射すると、ゲルの表面のみ白色し、吸着した鉛イオンが脱離したのがわかったが、ゲル内部まで照射光が効率的に届いていないため脱離効率の低さが課題となった。しかしながら、水温を29℃以下にすることでゲルは透明になり、照射光もゲル内部に透過し倍以上の脱離効率向上につながった。 金属イオンセンサーとしてのこの高分子ゲルの可能性について検討した。まず、呈色変化を利用した吸着状態の粗定量を試みた。下限臨界温度よりも低温側ではゲルの隅々まで均等に鉛イオンが吸着したが、透明であるため呈色は背景色によって認知度合いが左右された。一方、下限臨界温度よりも高温側では、材料が白色のため認知しやすいがゲル表面の呈色変化のみが見られるため、全体で吸着した鉛イオン量の一部だけを反映したものであった。
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Research Products
(1 results)