2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18310064
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡田 芳樹 Kansai University, 環境都市工学部, 教授 (90211119)
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Keywords | 環境分析 / ナノ粒子 / 粒径計測 / 化学組成計測 |
Research Abstract |
本研究では、50ナノメートル以下の気相中浮遊ナノ粒子に対して、既存技術では不可能であった粒径分布と粒子構成化学物質組成の迅速なその場観測を可能にする新規技術として、DMA(Differential Mobility Analyzer:微分型電気移動度測定装置)をもとに、オンラインで浮遊ナノ粒子の粒径ごとの化学組成を計測できる技術を新たに開発することを目的とする。この研究では、「気相ナノ粒子の高効率帯電化技術の開発」、「高透過率DMAの開発」、「オンラインで気相ナノ粒子の粒径ごとの組成を計測できる技術の開発」の3つの課題が重要であり、それらを中心に開発を行う。 研究の4年目である平成21年度は、オンラインで気相ナノ粒子の粒径ごとの組成をその場で計測できる技術の完成を目指して、昨年度までに開発した「高効率粒子帯電装置」、「高透過率DMA粒子選別装置」および「粒子の化学組成分析装置」を直列に接続し、技術の性能評価として定量性と時間応答性を調べた。 まず、化学組成分析装置で得られた質量スペクトルのピーク強度が、装置に導入された粒子濃度に比例することを確認した。また、ピーク強度と粒子濃度の定量性カーブより、計測できる下限粒子濃度がおよそ6×10^4個/ccであることがわかった。これらの結果より、開発した技術を用いて低濃度の粒子の化学組成を定量的に計測できることがわかった。 次に、「粒子の化学組成分析装置」として有機物粒子を気化した後、その蒸気を直接質量分析計に導入する装置を利用することにより、約1Hzの高速な時間応答性を持った計測が可能となった。以上の結果より、自動車の排ガス中に含まれる揮発性有機ナノ粒子の化学組成を、十分に高感度で十分に高速な時間応答性を持って計測できる技術を開発することに成功した。
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