2006 Fiscal Year Annual Research Report
北海道産の稚内層珪藻頁岩を活用した人間生活環境の環境負荷低減技術に関する研究
Project/Area Number |
18310065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長野 克則 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (80208032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 達矢 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (80292051)
桑原 浩平 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (40374582)
武田 清香 北海道大学, 大学院工学研究科, 特任助手 (00396300)
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Keywords | 稚内層珪藻頁岩 / 珪藻土 / トルエン / VOC / テトラクロロエチレン / 有機塩素化合物 / 疎水化 / 調湿 |
Research Abstract |
稚内層珪藻頁岩は、4〜20nmのメソ孔を多く有する天然の多孔質材料であり、その細孔構造に起因した自律的な調湿機能を有する材料として建材等に幅広く利用されている。本研究では、珪藻頁岩による環境負荷低減のための技術開発を目的に、VOCガスおよび水中有機塩素化合物の除去性能について検討した。 湿気を伴う60ppmのトルエンガスを連続的に接触させた時のトルエン飽和吸着量は、相対湿度30%,50%,60%,80%時でそれぞれ0.356,0.314,0.237,0.198mg/gとなり、湿度の増加とともにトルエン吸着量は減少し、トルエンと水の吸脱着が競争的でることが分かった。そこでトルエン吸着性能向上のため、1〜2mol/Lの水酸化ナトリウムの加熱浸積処理による細孔構造改質を試みた。その結果、1mol/L処理では細孔が10nm程度拡大した。一方、1.5mol/Lでは、10nm付近の細孔容量が少し減少し、3nm以下の細孔が形成された。2mol/Lでは、4-20nmの細孔がほぼ消失し、1.5mol/Lと同様な3nm以下の細孔が出現した。これら改質珪藻頁岩のトルエン吸着性能は、細孔が拡大した1mol/L処理では、原石よりも1割程度減少したが、3nm以下の細孔が形成された1.5および2.0mol/Lではトルエン吸着量が向上し、最大で1.8倍の吸着量を示した。 また40ppmのテトラクロロエチレン(PCE)水溶液を連続的に供給したときの珪藻頁岩のPCE吸着量は1.27mg/gであった。珪藻頁岩は親水性で急速に水を吸収することから、水中では細孔表面は水で満たされてしまうため、疎水性であるPCEの吸着は、多量の吸着水に阻害されていると推測される。そこで、ジメチルジクロロシランによる、細孔表面の疎水化を行った。その結果、PCE吸着量が7.30mg/gと5.7倍改善された。さらに150℃の加熱熱再生処理を行い、再生後もPCE吸着量が維持されていることを確認し、低温での再生が可能であることが分かった。
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