2008 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノロッド単粒子薄膜を利用した新規センシング技術開発
Project/Area Number |
18310069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新留 康郎 Kyushu University, 工学研究院, 准教授 (50264081)
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Keywords | 金ナノロッド / 表面プラズモン / プラズモンセンサー |
Research Abstract |
金ナノロッドの表面状態制御を引き続き行い、リン脂質(phosphatidylcholine)修飾金ナノロッドを凝集させ、さらに乾燥させた後に、溶液中に再分散できる条件を見いだした。リン脂質修飾金ナノロッドには過剰な界面活性剤や高分子を含まず、最小限のリン脂質とカチオン性界面活性剤でその分散安定性が保たれている状態である。このため、乾燥した金ナノロッドは金属光沢を示し、2次元的なプラズモンが乾燥金ナノロッドに存在することがわかった。しかし、この状態で金ナノロッドを冷蔵庫に保管することで不可逆な凝集を抑制できることがわかった。これは新しい金属ナノ粒子の保管方法・表面修飾方法として他に例を見ないものであり、今後の学術的あるいは応用に向けた研究展開が期待される。 高分子電解質で表面修飾した金ナノロッドをガラス基板に静電相互作用で固定する方法を確立した。基板に固定した金ナノロッドは明確な表面プラズモンバンドを示すことから、ナノロッドが孤立状態で固定できることが明らかになった。この金ナノロッドに抗体を固定し、更に抗原となるタンパク質を結合させた。それぞれのステップで表面プラズモンバンドの変化をモニターしたところ、従来にない大きなピークシフトが再現性の良く得られることを明らかにした。この実験によって得られたピークシフトは従来の報告にない大きなものであり、金ナノロッドセンサーの実用化に向けた大きな技術的進歩が得られた。また、検出感度も10^<-12>Mのオーダーの下限を有しており、今後の最適化によって従来のセンサーを上回る検出限界の実現が期待される。
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