2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体マクロアトムにおける光学的スピン操作と結合スピン状態の解明
Project/Area Number |
18310074
|
Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
後藤 秀樹 NTT Basic Research Laboratories, 企画担当, 主任研究員 (10393795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 功太 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究主任 (20393796)
眞田 治樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 社員 (50417094)
GUOQIANG ZHANG 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, リサーチアソシエイト (90402247)
|
Keywords | ナノ材料 / 半導体物性 / 光物性 |
Research Abstract |
単一スピン操作用のマクロアトム試料の基本特性評価、ナノワイヤを用いたマクロアトム作製で成果が得られた。 マクロアトム試料は、ゲート制御により単一電子を注入できる、GaAs/AlGaAs量子井戸である。まず、単一スピン操作のために必要となる荷電励起子が生成できることを光学測定により確認した。この試料を用い、スピン状態を観測するために偏光分解フォトルミネッセンスの励起エネルギー依存性を詳細に調べた。実験で、特定の光を使って荷電励起子を形成すると、約40%の高い円偏光度が得られることが分かった。この成果は、単一スピン操作実現のための重要なステップとなる。 ナノワイヤについては、複数の種類の半導体を用いて、マクロアトム形成に最適な構造を探索した。GaAs系については、前期に引き続いて、有機金属気相成長法の成長条件の最適化を進めた。また、現在のLSI素子および光通信用素子との整合を図るために、Si基板上のGaPナノワイヤをベースとしたヘテロ構造と、長波長発光AlGaInAs系ナノワイヤについて検討した。 GaPナノワイヤに関しては、基板に垂直なGaPワイヤの成長技術を確立させた。また、平坦ファセットで覆われた光共振器構造を作製することも可能にした。また、GaAs/GaPナノワイヤを用いて曲がりノードが形成可能なことも示した。これは様々な三次元構造を作製するために鍵となる技術である。 長波長発光ナノワイヤに関しては、InP基板上のAlGaInAs系ナノワイヤを検討した。ナノワイヤで今までに報告のない波長2μmを超える発光を室温で確認した。 以上の成果は学会及び論文で報告した。今後、単一スピン操作技術、ナノワイヤによるマクロアトム作製技術をさらに発展させる。本成果は、単一スピンおよび結合スピン状態の形成、および制御のための重要なマイルストーンとなる。
|