2006 Fiscal Year Annual Research Report
原子テンプレート法による有機分子超構造作成手法の開拓
Project/Area Number |
18310084
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
田中 秀吉 独立行政法人情報通信研究機構, 第一研究部門未来ICT研究センターナノICTグループ, 主任研究員 (40284608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 仁 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (60359099)
阿部 真之 大阪大学, 工学系研究科, 助教授 (00362666)
森田 清三 大阪大学, 工学系研究科, 教授 (50091757)
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Keywords | 原子テンプレート / 超分子構造 / 走査型プローブ技術 / ポテンシャル特異点 |
Research Abstract |
本課題は情報通信研究機構が有する有機超分子構造合成・作成技術と大阪大学が有する基板表面原子組み替え技術を融合し、基板上の任意の位置に目的とする超分子構造を作成し固定する手法を走査型プローブ技術をベースとして開拓しようとするものである。本年度は必要となる実験環境の整備と基盤となるファインプロセス技術の開発を進めた。具体的には、市販のSPM汎用コントローラーを新規導入しこれをべ一スにして必要となるファイン制御機能を大阪大学からの技術供与に基づき開発・付加した。さらにこれらを情報通信研究機構が有するオミクロン社製SPM装置(VT-SPM)に接続して実際の原子テンプレート作成作業に必要となる作業精度や実験手順、必要となる追加改造などについて検討した。 実験装置の整備と並行して、超分子構造作成のパーツ部分となる有機分子体の合成・蒸着・観察実験も進めた。具体的には、官能基の化学反応性を調整した環状ポルフィリン誘導体をポテンシャル特異点である基板上テラスエッジにトラップさせ、分子同士を強制的に近接させることで生ずる局所コンフォメーション変化を調べた。実験は進行中であるが、その官能基の相対的な距離に依存して各分子がその相対位置をフリップフロップ的に自律調整する様子がSTMによって観測されている。これらは超分子構造の形成過程を理解するうえで重要であり分子動力学的なモデリングによる解釈を現在進めている。 また、超高真空中にて再構成された清浄TiO_2基板面に配置されたポルフィリン誘導体の一分子コンフォメーションを詳細に調べた。その結果、基板上の分子吸着位置はポルフィリン環周辺の電化分布と基板上の原子配列の整合性に強く依存することがわかった。これは基板上の原子配列パターンが有機分子ユニットの配列に大きく影響することを実際に示しており、原子テンプレート設計に際しての重要な知見を与える。
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Research Products
(3 results)