2008 Fiscal Year Annual Research Report
原子テンプレート法による有機分子超構造作成手法の開拓
Project/Area Number |
18310084
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
田中 秀吉 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センターナノICTグループ, 主任研究員 (40284608)
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Keywords | 原子テンプレート / 超分子構造 / 走査型プローブ技術 / ポテンシャル特異点 |
Research Abstract |
本課題は有機分子の自己組織化に基づく超構造作成技術とこれらを配置する基板表面構造の原子スケール調整技術を融合し、通常の熱緩和的な方法では形成困難な超分子構造を基板上に作成し固定する基盤技術を開拓しようとするものである。 本年度は前年度までに実施された金基板上分子グリッド構造の形成条件を解明し制御性を高めるとともに、この技術を絶縁性酸化物基板上に移植するためのコンセプト探索を行った。まずは、分子グリッド構造の個々の分子パーツと下地基板との接続様態を調べるために、分子を基板に対して固定するアンカーとして機能していると思われるSCH_3基とテンプレートであるテラスエッジ部位との相対的なポテンシャル差異をケルビン力顕微鏡によって観測した。その結果、この官能登が基板構造に対して局所的な親和力を発揮し、構造形成において重要な秩序を与えていることを示唆する結果を得た。 また、代表的な酸化物であるTiO_2単結晶基板に熱還元処理を行うことで0.9nmピッチの周期的1次元構造を作成し、この構造が特定の分極官能基を導入したポルフィリン分子に対して、分子配置制御用のテンプレートとして機能することをSPM観測によって確認した。これらは基板上の電荷配列パターンと分子内電荷分布のスケール的なかみ合いによるものと解釈され、配置する分子の構造や分極パターンを適宜調整することで金基板上のグリッド構造と同等の構造が作成可能と予想される。 これと並行して、よりエンジニアリング性の高いSrTiO_3基板上でのテンプレート構造作成にも取り組み、適切な熱処理を施すことによって原子レベルで平坦化された基板表面上で5nm幅1次元テンプレート構造の形成に成功した。 これら一連の研究結果は基板上での分子自己組織化制御に有用なものであり、今後の有機分子ナノ構造作成技術の発展に大きく寄与するものと考える。
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