2008 Fiscal Year Annual Research Report
固有ジョセフソン接合を利用した高温超伝導量子計算機に関する研究
Project/Area Number |
18310096
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 茂雄 Tohoku University, 電気通信研究所, 准教授 (10282013)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 康治 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60125622)
早川 吉弘 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (20250847)
小野美 武 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70312676)
|
Keywords | 量子計算機 / 高温超伝導体 / ジョセブソン接合 / 断熱的量子計算 / Bi-2212 / 量子ビット |
Research Abstract |
単一ジョセフソン接合のダイナミクスはRSJモデルと呼ばれる受動素子モデルで近似できることが知られており、接合を構成する電極間の電子波動関数の位相差を座標変数とし、ジョセフソンエネルギーに相当する1次元ポテンシャル中を粒子が運動するという描像が成り立つ。十分低温においてエネルギーは量子化されるため、任意の2準位を量子ビットの|0>と|1>に対応させることができ、これを位相量子ビットと呼ぶ。今年度はまず、昨年度の成果であるBi-2212固有ジョセフソン接合におけるシングルフォトン共鳴特性実験のデータ解析を行った。1ビット量子ビット動作つまりラビ振動の観測には、基底状態|0>から第一励起準位|1>への遷移に必要な電磁波周波数と、第一励起準位|1>から第二励起準位|2>への遷移に必要な電磁波周波数が十分離れていることが必要であり、周波数差を大きくするためにはバイアス電流を大きくすればよい。しかし、あまりにバイアス電流が大きい場合には基底準位からもトンネル効果による脱出が起きるため、共鳴による励起準位からの脱出と区別がつかなくなる。共鳴曲線から得られたQ値は約70程度であり、ラビ振動の観測には難があることがわかった。接合のごく近い場所にフィルタを導入すること、電磁場と接合の結合を強めるなどの実験的工夫が必要であることから、測定系の改良を図った。ラビ振動つまり量子1ビットの動作確認は今後の課題として残った。 ニューロ的手法を導入したアルゴリズムでは、デコヒーレンスと計算能力の関係について数値シミュレーションで評価した。デコヒーレンスに比例して計算能力は劣化するものの、他の量子アルゴリズムに比べ劣化が顕著でないことを確認し、本手法の新たな優位性を示した。
|