2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノエレクトロメカニカル構造を内蔵する高機能シリコン単電子複合素子の創製
Project/Area Number |
18310097
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水田 博 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 連携教授 (90372458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 俊理 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 教授 (50126314)
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Keywords | NEMS / 可動ゲート構造 / 微細MOSFET / 単電子トランジスタ / シリコンナノブリッジ / ハイブリッドシミュレーション / 3次元有限要素解析 / 等価回路モデル |
Research Abstract |
H18年度に開発したハイブリッドシミュレーション技術を用いて、SET-NEMSおよびMOS-NEMS素子の基本構造であるサスペンデッドゲート(SG)構造を設計・試作した。p型シリコン基板表面を熱酸化した後、犠牲層となるアモルファスシリコン薄膜、および可動ゲート下の保護膜となる酸化膜を堆積した。電子ビーム(EB)直接描画とリフトオフプロセスによりAI電極パターンを形成した後、等方性ドライエッチングにより犠牲層をアンダーエッチングすることで可動ゲート構造を形成した。作製したSGと基板間に電圧を印加し、ゲート・基板間容量変化を測定したところ、プル・イン/プル・アウト動作に伴う急峻な容量変化を明瞭に観測することに成功した。 またNEMSETタイプの素子においては、p型高濃度ドープSOI基板(50nm)を用い、量子ドット構造を有するナノブリッジを形成した。EBを用いてブリッジ部とサイドゲートをパターンニングした後、エッチングにより下地の酸化膜を取り除いてブリッジチャネルを形成した。量子ドットは長径100nmx短径35nmである。この素子の電流-電圧特性を20Kで測定したところ、明瞭なクーロンダイアモンドを観測することができた。この素子の特性をチャネル下の酸化膜を除去していない素子の特性と比較したところ、(1)帯電島の容量が約1/3に減少、(2)SETの動作温度が〜50K→>100Kに向上、と帯電島を宙に浮かせた効果が明確に観測された。さらにこの素子を<4.2Kで評価したところ、量子ドット両端にかかる実効的な電圧が<1mVの領域でトンネル電流ピークが焼失することが観測された。焼失する電圧幅の電圧・温度依存性を解析した結果、この現象は量子ドット内の閉じ込めフォノンによる単電子の非弾性散乱過程に起因すると解釈され、シリコンナノ構造素子で初めて観測されたフォノンブロッケード現象と考えられる。
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