2006 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子ラマン検出を目指したナノシートプラズモンチップの開発
Project/Area Number |
18310099
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (10262114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 要一 独立行政法人物質・材料研究機構, 若手国際研究拠点, 特別研究員 (60421434)
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Keywords | 表面プラズモン / プラズモニクス / 表面増強ラマン散乱 / ナノ共振器 |
Research Abstract |
(1)ナノシート共振器アレイにおける電磁場解析 まず,これまで作製してきた孤立したナノシート共振器について,ポインティングベクトルの分布を計算し,共振器への光エネルギーの流入と消費の過程を検討した.その結果,3種類の断面積に対応する3種類のポインティングベクトルと,複素ポインティングベクトルの虚数成分が重要な情報を表すことが明らかになった.また,今後開発していくナノシート共振器アレイの解析には,従来,回折格子の解析に用いられてきたRCWA法が有効であることを確認した. (2)ナノシート共振器アレイの作製プロセスの確立 多層膜を出発材料としたナノシート共振器アレイの作製プロセスの基本的な部分を確立し,ギャップ幅10nm,ギャップ長5〜50nmの10周期の共振器アレイを作製した.具体的には,SiO_2/Si_3N_4多層膜の断面を研磨した後,リン酸でSi_3N_4だけをエッチングしてSiO_2の突起を残した.これに金をスパッタし,裏返しに別基板に貼り付け,多層膜を除去した.最後の多層膜除去には化学的エッチングを用い,共振器のギャップ部分にSiO_2が埋め込まれた構造を作る予定であったが,この材料系では適切なエッチング条件が確立できなかったため,機械的剥離により,ギャップ部が空洞の共振器アレイを作製した. (3)ナノシート共振器によるラマン増強の実証 冷却CCDカメラを購入し,既に作製してあった様々な寸法の孤立したナノシート共振器におけるラマン増強効果の測定を試みた.共振器のギャップ部に埋め込まれているSiO_2のラマン信号の増強を観測することを期待したのであるが,予想外の蛍光増強現象に遭遇した.それは,おそらくは金表面からの微弱な広帯域の放射が共振器により増強されたものと予想される.それ自体,共振器の電場増強効果の直接的な証明である可能性が高いが,発光の起源の特定には至らなかった.
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Research Products
(2 results)