Research Abstract |
本研究計画では,人間行動の分析に対してエージェントベースシミュレーションを用いて分析するが,具体的には,(1)公共財保全に寄与する社会システムの設計と比較,(2)非対称な利得構造をもつゲーム分析,(3)協調ゲームにおける複数均衡問題,(4)意思決定における社会規範の影響,(5)社会的ネットワークの形成を取扱っており,以下のように実施した. (1),(2)については,論文としてまとめ,雑誌に投稿中である. (3)については,最小値ゲームおよび平均値ゲームを計算機上で,多くのエージェントに長期的に繰返し実施させ,さらに情報の公開やさまざまパラメータを設定できるモデルを設計し,システムを開発した.このシステムを用いて,さまざまなパラメータを変動させ,シミュレーションを実施し,結果を分析し,論文にまとめている. (4)については,各エージェントが社会規範を遵守するかどうかを毎期決定し,これを繰返して長期的にその社会規範の信奉率がどのように変化するかを調べるためのモデルを開発した.利得関数のパラメータ,規範を遵守しない場合のペナルティ,嗜好の分布を変化させてシミュレーションを行い,結果を分析し,論文にまとめている. (5)については,社会的ネットワーク形成に関しては相互作用を協調ゲームで表現し,プレイヤーがゲームにおける行動の選択とゲームを行う相手を選択できるモデルを構成し,均衡選択とネットワークの形成に着目し,長期的安定的均衡について理論的に考察した.今後この成果を論文にまとめる予定である.
|