2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト各種組織における全ゲノムトランスクリプトームとゲノム上の性質との関係の解明
Project/Area Number |
18310134
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
角田 達彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 遺伝子多型情報解析研究チーム, チームリーダー (10273468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金村 米博 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター臨床研究部, 政策医療基盤技術開発研究室, 室員 (80344175)
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Keywords | 全ゲノム転写産物解析 / non-coding RNA / 組織特異性 / 転写産物データベース / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
昨年度に継続し本年度は解析サンプルをさらに追加し、最終的にヒトの代表的な22組織およびヒト神経幹細胞、ヒト株化細胞2種の全ゲノム(約4千万所、十億塩基対)の発現解析を終了させ、そのトランスクリプトームデータベースを構築した(公開予定)。データベース構築に付随し、偽陰性率と感度が最適となる新たな正規化手法を確立させた。これは解析速度と精度を上げることに貢献し、今後の同様のタイリングアレーを用いた全ゲノム転写発現解析にも応用可能である。またゲノムアノテーション情報も同時に表示する可視化ツールも構築した。解析では、横断的なヒト各種組織で全ゲノムに渡り多数の非遺伝子領域が転写能を有し、全転写産物の90%以上がタンパク質をコードしない領域からの転写であることを明らかにした。また、各組織に特異的に発現している転写産物を各々数万以上明らかにした。全ゲノムでのヒト組織発現データベースは世界に類がなく、その有用性は大きい。すなわち、本データを正常組織発現データとして用いることで、他の癌などの病理組織と比較し、疾患関連因子を非遺伝子領域まで含む全ゲノムに渡って探索することが可能になる。特に、これまで組織特異的に発現する遺伝子群の中にその組織特有の疾患関連遺伝子が複数確認されていることから、組織特有の疾患関連候補探索に有用と考えられる。また治療ターゲット因子の候補探索時には、正常組織での発現の有無を確認できることで副作用が起こりにくいと予想される治療ターゲット分子候補を優先させることも可能になる。さらに本研究では、全ゲノム中の転写産物の特徴(位置や配列)についても解析を行った。進化的な塩基配列保存性や遺伝子多型の頻度と転写領域との偏りの解析によりヒトゲノムの構造と転写に関する新たな知見が得られ、また研究対象とする候補因子の絞り込みの一助となるなど、新たな手法を提供することが可能になった。
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Research Products
(1 results)