2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規C末端特異的誘導体化によるプロテオミクス解析法の開発
Project/Area Number |
18310146
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中沢 隆 Nara Women's University, 理学部, 教授 (30175492)
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Keywords | プロテオミクス / C末端アミノ酸配列解析 / 化学修飾 / MALDI-MS / 質量分析 / オキサゾロン / 翻訳後修飾 / Terminus proteomics |
Research Abstract |
【内容】ペプチドの選択的C末端誘導体化の反応条件を最適化した結果、簡単なアミド化において収率を平均60%以上にすることに成功した。この誘導体化と新規N末端標識に基づくC末端ペプチド単離法を組み合わせることで、C末端が翻訳後修飾されたペプチドのマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)によるアミノ酸配列解析も可能となった。これまで試みていたMALDI-MSシグナルの感度向上がC末端の代わりにN末端の標識で実現でき、C末端は最も簡単なメチルアミド化で標識に伴うC末端ペプチドの質量変化の検出が容易になったことがこの成功の鍵である。 【意義】本研究の目的は、プロテオミクスの基本となるタンパク質の同定に有用なタンパク質のC末端解析法の開発である。平成20年度の研究成果はこの目的を達成するばかりでなく、当初の予定になかったC末端が翻訳後修飾されたタンパク質の同定と、修飾している化学種の解析にも対応できる分析法にまで発展した。C末端誘導体化の平均収率60%(10pmol)は高いとはいえないが、反応前後のペプチドのピークが同時に観測できるため、質量の変化の有無が容易に見分けられる利点がある。 【重要性】タンパク質のC末端アミノ酸配列解析に標準的な方法は未だに確立されていない。本研究はこの実現困難な方法の実用化に目処をつけると同時に、より困難なタンパク質のC末端における翻訳後修飾の同定にも威力を発揮することが期待される。すなわち、従来N末端やアミノ酸側鎖に比べてほとんど知られていなかったC末端における翻訳後修飾が、本研究で開発した方法により次々と発見される可能性があり.これによって生体内でのタンパク質の成熟過程の研究の進展が見込まれる。
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Research Products
(5 results)