2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18310149
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯貝 泰弘 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 主任研究員 (00201921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 元規 東京工業大学, 学術国際情報センター, 助教授 (40290895)
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Keywords | 蛋白質 / 分子設計 / 立体構造 / 機能 / フォールディング |
Research Abstract |
近年、多くの天然蛋白質の立体構造が次々に解明されている。一方、天然の蛋白質にとらわれない物理化学的な観点から、どのようなアミノ酸配列が天然様の構造物性を実現し、それがどの様に蛋白質機能に結びついているのかについては不明な点が多い。本研究では、デノボ設計の手法を用いて、進化による選択を受けていない人工蛋白質の合成と解析を行い、構造物性と蛋白質機能の関係の解明を目指す。本年度は、以下のような研究成果を得た。 1.前年度までに設計と合成を行ったデノボ蛋白質sn4mは、NMR解析の結果、設計のターゲットとした天然λCroモノマー変異体の立体構造に良く似た溶液構造にフォールドすることが分かった。このデノボ蛋白質の構造ダイナミクスの情報を得るために、15Nラベルした試料を用いてNMR緩和の測定を行った。その結果、sn4m分子全体としては、天然λCroモノマーと同程度のダイナミクスを示したが、β構造部分に、緩和時間の小さな複数の残基が存在し、その領域に構造多様性があることが示唆された。従って、sn4mが、多くの天然蛋白質と異なり協同性の低い熱変性曲線を示すのは、β構造部分の構造多様性に原因があると考えられる。 2.協同的なフォールディング反応を示すデノボ蛋白質を得るために、デノボCro蛋白質sn4mの疎水性コア変異体の作成を行った。得られた変異体の一つは、協同的な熱転移反応を示したが、塩酸グアニジンを用いて行った変性実験では、sn4mのそれと大きな違いを示さなかった。sn4mとその変異体を用いて、結晶のスクリーニング実験を行い、低分解能のX線回折を示す単結晶を得た。
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