2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア原産栽培植物の野生遺伝資源における多様性形成に関する保全生物学的研究
Project/Area Number |
18310154
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山口 裕文 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (20112542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 純 北海道大学, 農学研究科, 准教授 (00192998)
梅本 信也 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60213500)
大江 真道 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (60244662)
中山 祐一郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50322368)
山根 京子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (00405359)
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Keywords | 遺伝資源 / 自生地保全 / 栽培化 / 日華植物区系 / 概念整理 |
Research Abstract |
栽培植物・雑草・野生植物の概念を整理の、野生遺伝資源植物の多様性保全について論考し、生物多様性および遺伝資源の保全事業や遺伝子組換え植物利用等の環境負荷軽減への学術基盤を構築する目的で、雑草系統を含む東アジア産(旧熱帯要素)栽培植物の野生遺伝資源植物について分子系統学的解析かよび比較生態学的調査を進めるとともに文献研究を行った。5月に研究検討会を開催し、前年度の研究成果を討議し、分担内容を調整した後、系譜研究ではアズキ属、ダイズ属、ユリ属、ヒエ属、ワサビ属植物およびタケ類について葉緑体および核遺伝子のシーケンス分析を行い、種群の分岐年代推定と地域個体群の遺伝的多様性を解析した。日本の転資源植物は温帯性種(集団)との類似を示し、中国西南やヒマラヤ山麓の集団とは母系および父系とも類縁はうすく、両者間には大きな遺伝的違いがみられた。ダイズでは栽培化過程を分子遺伝学的に解析するために、栽培化関連形質である硬質性QTLの候補遺伝子としてラッカーゼのDNA多型を解析し、硬実性に関与すると考えられる候補多型を同定した。形態的・生態的差異の評価では雑草イネの脱粒構造を栽培イネおよび野生イネと比較し、雑草イネの脱粒性遺伝子は栽培種由来で固有の形態的特徴をもつことを明らかにした。多年生ヒエ属植物では染色体数変異を調査し、倍数性と母系とに関連はなく、種の判定形質が母系と交錯することが解った。また、中国(貴州・広西省、雲南省など)、タイ、マレーシアを含む国内外の自生地でのニッチ分析と植生解析ではツルマメやヤブツルアズキが植生遷移に伴って微小な生育地変更をしていることを確認した。10月にはスリランカ国で開催されたAPWSS学会で沖縄に自生するヒエ属野生種に関する成果を発表した。文献調査では、栽培種・野生種・雑草系統の近代的研究をレビューした。
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Research Products
(7 results)