Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼野 充義 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40180690)
村田 靖子 東邦大学, 薬学部, 教授 (90200302)
野村 真理 金沢大学, 経済学部, 教授 (20164741)
奥山 眞知 常磐大学, 人間科学部, 教授 (60152443)
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
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Research Abstract |
2月16日,17日に同志社大学において研究成果報告会を実施した。 ユダヤ人のアイデンティティ問題は,近代ユダヤ文化には不可欠であるため,本共同研究者が中心となって本年度中に論集『ユダヤ人と国民国家』(仮題)を出版する計画を立て,それに沿って中間報告を行った。内訳は,市川裕「近代憲法とユダヤ,アイデンティティ-Judaismは宗教か」,高尾千津子「ソヴィエトユダヤ人/ロシアユダヤ人」,高木久未「中世ユダヤ思想における聖俗分離の端緒」,手島勲矢「ユダヤ教と政治アイデンティティ:古代史研究の基礎的問題群から」,長田浩彰「ナチ政権とユダヤ,アイデンティティ」である。討論では,アイデンティティ問題は,古代,中世,近現代に分けてその特徴を比較考察することの重要性が共有された。 今年度の全体主題は「現代イスラエルのナショナル,アイデンティティと安全保障」であったが,これに関して,池田明史「イスラエル安全保障観の変遷」,奥山眞知「兵役拒否をめぐる動向と課題」,辻田真理子「イスラエル社会の変遷-コンセンサスの喪失」の報告があった。現代イスラエルの国土防衛の問題は,ショアーを体験したユダヤ人が自衛のために費やすエネルギーの大きさを測る重要な指標である。そして,男女の若者の兵役は,一つの社会的身分であり,その後の予備役兵の制度も含めて,イスラエル国民の連帯意識の創出に不可欠の要素であった。しかし近年,兵役拒否や世俗と宗教との対立が表面化し,コンセンサスの喪失が著しく,さらに徴兵制,予備役兵が戦略上下利であることが軍事的にも実証されたため,国家的アイデンティティの危機が指摘された。 研究協力者の高尾氏と高木氏が年度中に研究者番号を取得された。
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