2007 Fiscal Year Annual Research Report
「昭和20年8月15日」植民地支配終焉と朝鮮解放の歴史像再構築-民衆史の視点から
Project/Area Number |
18310163
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 孝俊 Kyushu University, 韓国研究センター, 教授 (20150378)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 継雄 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (00134180)
|
Keywords | 昭和20年8月15日 / 植民地の消滅 / 植民地公権力の消滅 / 残留を希望した日本人たち / 京城日本人世話人会会報 / 崔承喜 |
Research Abstract |
植民地時代朝鮮半島在住経験者に対する聞き取り調査を集中的に実施した。そのインタビュー内容は、8月15日以降の朝鮮半島での状況に関して、主に朝鮮総督府の公権力の終焉、アメリカ軍政府による公権力の行使、民間の日本人の財産権消滅、没収などを聴取した。これらに関して、『朝鮮総督府終政の記録』や『朝鮮終戦の記録』、そして1945年8月17日から発行が再開された『京城日報』記事等を参照しつつ、社会一般の言説として「朝鮮民族の解放=朝鮮民族への国家権力掌握」が昭和20年8月15日であったと指摘するが、それは正しいのかを検証した。その結果、昭和20年10月12日に京城市内の全警察署から日本人警察官が撤退するまで、言い換えれば米国軍政統治の開始まで京城のみ成らず、朝鮮半島の南部地域の大部分において、つまり後日、米軍統治下におかれる地域においては、完全に日本人が法的秩序を掌握していたと推定している。これまで日韓における言説のすべては、昭和20年8月15日正午を契機として、日本人の公権力は完全に消滅し、それらは韓国人に委譲されたと言われてきた通説への根本的な再検討を迫る問題提起であろう。 併せて、本研究では、引き揚げ記録など関連事項に関する文献調査を実施し、「京城日本人会世話会会報」の入手に努め、その第1号から第123号(最終号)までを画像データとして公開する予定である。 なお、2007年12月15日〜16日に日本・韓国・台湾から約30名の研究者の参加を得て、国際研究集会を開催した。その研究成果は26編の論文に集約されるが、いずれにしても日本のみ成らず、朝鮮・台湾における8月15日の「玉音放送」以後が大きく問い直される時期に来たことを内外に公表するシンポジウムとなった。
|
Research Products
(4 results)