2007 Fiscal Year Annual Research Report
多角的なジェンダーの視点による正義概念の再構築と正義感覚への架橋をめざす研究
Project/Area Number |
18310170
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 Ritsumeikan University, 法務研究科, 教授 (40131726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 克美 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40309084)
池内 靖子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80121606)
岡野 八代 立命館大学, 法学部, 准教授 (70319482)
姫岡 とし子 筑波大学, 人文科学研究科, 教授 (80206581)
秋林 こずえ 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (90377010)
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Keywords | 正義 / 公私二元論 / ケアワーク / ポストコロニアル / 移動 / 軍事化 |
Research Abstract |
1)今年度の課題は、21世紀の新しい現象として、女性が国境をこえると同時に、既存の公私の境界をも揺るがす事態が生じていることをいかに分析するかであった。こうした課題に取り組むために開催されたシンポジウム「女性・移動・労働」において、経済のグローバリゼーションの中で、自国を離れ他国において、ケアワークを主に担当することになる女性労働の現状把握がなされた。そこで明らかとされたのは、すでにグローバルな労働現場の中においては、既存の公私二元論とそれが前提とした国民国家単位の正義概念では女性たちの生活実践を捉えることも、公正な社会を構想することもできない、ということである。 2)また、映像やインスタレーション、身体など様々な媒体の表現を通して文化表象の政治を読みとく研究を進めた。主要なテーマは、植民地主義とその継続と同時に新たなグローバリゼーションの進展の中で生きる私たちの歴史的現在を、アーティストはどのように表現しうるのか、また、彼女たちの表現と触れあうことで、私たちはどのような言葉をもって語りあうことができるのか、という問いかけであった。 3)07年度研究会を通じて得られた成果としては、歴史的な女性運動をつうじて見えてくる新しい共同・連帯のあり方の模索から、正義概念の組み換えの可能性への示唆であった。また、9.11同時多発テロ以降の世界における軍事化の動きは、ポストコロニアルな世界に対する反省もなきままに進行し、その中で女性たちの被害状況がいっそう深刻化している事態が明らかにされた。
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Research Products
(5 results)