2007 Fiscal Year Annual Research Report
「いのち・からだ・こころ」をめぐる現代的問題への応用現象学からの貢献の試み
Project/Area Number |
18320003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 哲也 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20205727)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 靖彦 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 准教授 (30328679)
浜渦 辰二 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70218527)
谷 徹 立命館大学, 文学部, 教授 (40188371)
田口 茂 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (50287950)
和田 渡 阪南大学, 経済学部, 教授 (80210988)
|
Keywords | ケアの現象学 / ケアの人間学 / 意識生 / 精神医学 / 自閉症 / システム論 / イメージ・スキーマ理論 / オートポイエーシス |
Research Abstract |
今年度も前年度に引き続き、各自が応用現象学的研究を行うともに、海外の研究者や外部の専門家をも招いて、共同で応用現象学会議を開催し、共同研究の実質を深めた。研究代表者榊原は、看護ケアにおける「いのち・からだ・こころ」の諸問題への現象学の応用可能性を追求しつつ、研究全体を統括した。和田は、フッサール現象学における意識生(意識生命)という概念に視点を定め、意識といのちと心の関わりについて現象学の観点から探究した。浜渦は、「ケアの人間学」および「ケアの現象学」をテーマに研究会やシンポジウムを運営しつつ、「生と死のケア」や「緩和ケアと尊厳」などについて考察を深めた。宮原は、現象学の認知言語学への応用研究として、認知言語学と現象学の統合理論を構築すべく、ラネカーのいくつかの根本概念をとりあげ、イメージ・スキーマ理論をフッサールの現象学の立場から補完する試みを行った。谷は、北欧現象学会(コペンハーゲン)における講演や、臨床哲学シンポジウム(東京)の企画・司会をつうじて、異文化圏の現象学者や、精神医学などの研究者と研究の交換を行なった。村上は、成育医療センターにおいて自閉症に関するフィールドワークを行い、精神病理学的な現象学の試みを行った。山口は、ルーマンのシステム論とフッサール現象学の対比的考察を巡る論文発表を行った。田口は、自己・自我論および他者論の観点から、「いのち・こころ」の問題に接近するための現象学的思考法の特性を解明した。斎藤は、ドイツ観念論とオートポイエーシス理論を下敷きに、「いのち」が「からだ」ならびに「こころ」へと自らを展開してゆく過程を総括的に概観し解明した。さらに野家、貫も、各自の視点から「いのち・からだ・こころ」をめぐる諸問題に対して、応用現象学的な試みを行った。 また以上の個別研究と連携させつつ、本年度は「看護ケア」と「システム理論」をめぐって、海外の研究者ならびに国内の専門家を招いて応用現象学会議を開催した。
|