Research Abstract |
本研究の主要な目的は,倫理,法,自由,三者の関係を問い直すことである。 19年度は初年度に引き続き,相互の連絡や研究会を通して,各研究者がそれぞれの分野で,基礎的な作業さらに進めた。成果については11.「研究発表」の項を参照されたい。 関根は,引き続きヘブライズムの,驚きにみちた他者,神との出会いが神の律法の下で生起した必然性を追及することで,人間の行為,歴史の倫理的意味の探求の原像をそこに明らかにした。 三嶋も引き続き,ギリシアの理性哲学が,時代の変遷の中で,自然(法則)の自由な追求から,実践哲学的に法,国家を問題とせざるを得なくなる経緯を再検討した. 下城は,へーゲルの初期草稿「イエスの生涯」を検討し,真理(法)の顕現である神の現われが,時代のうちで悲劇的たらざるを得ないとの結論に達するヘーゲル哲学の論理構制を検討した。 以上の検討を基に,西洋思想史,倫理学における「法」概念を整理し直し批判的に検討することが次年度の続いての課題となる。相互の研究発表や,海外での学会参加等によって,それを遂行していきたい。
|