2006 Fiscal Year Annual Research Report
知識・行為・制度をめぐる「因果性」と「志向性」の哲学的解明
Project/Area Number |
18320005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一ノ瀬 正樹 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (20232407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 澄夫 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (30097282)
天野 正幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (40107173)
高山 守 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (20121460)
榊原 哲也 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (20205727)
門脇 俊介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90177486)
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Keywords | 知識 / 行為 / 制度 / 因果性 / 志向性 / 目的 / 理由 / 正当化 |
Research Abstract |
平成18年度は、全体として、因果性と志向性が様々な知識や行為の理解の場面で働くありように主たる焦点を当てて研究を遂行した。例えば、因果性と責任能力との連関、理由概念の志向的機能などについての研究成果が上がった。 一ノ瀬正樹は、『原因と理由の迷宮』を刊行し、「因果性」と「志向性」の対比を正面から論じた。また、いわゆる「触法精神障害者の刑事責任」の問題について口頭発表し、自由と責任をめぐる「因果性」の研究を進展させた。 松永澄夫は、人々が制度によって行動を制約されつつも、制度あればこそ可能となる行動のレパートリーを手中にしていることを示し、後者の種類の行動が一般にどのような構造をもっているのかを探究した。 天野正幸は、アリストテレスの自然学・形而上学の四原因説における始動因と目的因を再検討するとともに、『分析論後書』における原因探究法としての論証的推論(三段論法)を研究した。 高山守は、ヘーゲル、それにB.ラッセル、J.Lマッキー、D.ルイス等の因果論を総合的に論究することで因果論の本質を明らかにし、いわゆる因果関係が同時にまた我々の志向的あり方そのものを構成するものであることの解明を試みた。 榊原哲也は、フッサール現象学における「志向性」概念の本質構造とそれを解明する方法とを明らかにするとともに、それらと比較しつつ、ハイデガーの「方法」としての「現象学」概念への、解釈の準備作業を行った。 門脇俊介は、『理由の空間の現象学』で展開した表象的次元での「志向性」概念理解の批判を踏まえ、「因果性」と「志向性」の絡み合う言語空間に即しつつ、理由概念の根源的解明を試みた。 中真生は、悪と苦しみの経験における「因果性」についてレヴィナス思想の検討を通して研究した。その結果、レヴィナスは、悪と苦しみに関して従来の因果性概念を翻す見解を提示していることが明らかになった。
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Research Products
(13 results)