2008 Fiscal Year Annual Research Report
知識・行為・制度をめぐる「因果性」と「志向性」の哲学的解明
Project/Area Number |
18320005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一ノ瀬 正樹 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20232407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 澄夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30097282)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
榊原 哲也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20205727)
鈴木 泉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (50235933)
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Keywords | 知識 / 行為 / 制度 / 因果性 / 志向性 / 目的 / 理由 / 正当化 |
Research Abstract |
一ノ瀬正樹は、意味の因果的側面についての論文を発表したり、国際学会で自由意志に関する口頭発表を行った。また、触法精神障害者の刑事責任についての図書を編集出版した。松永澄夫は、言葉が意味と同時に価値評価を携えるその仕方を吟味し、言葉に担われた知識がどのようにして社会の中ヒ浸透しつつ或る価値作用を行うか、その構造を解明した。天野正幸は、アリストテレスの倫理思想・政治思想を、プラトンの『国家』・『法律』における倫理思想・政治思想と比較・研究した。高山守は、因果関係の内実を徹底して追求し、その関係が充足理由関係に解消することを明らかにした。また、それを踏まえて、因果必然性と自由との両立的な関係性を明確にした。榊原哲也は、昨年度に引き続き、フッサール現象学の「志向性」概念について考察し、他者経験における「志向性」と「動機づけ」の関係を明らかにするとともに、これらの思想と西田哲学との比較を試みた。鈴木泉は、中世後期から近世にかけての「志向性」概念の変遷を「第二の形而上学」の中に辿り、本研究における基礎的な概念に対する哲学史的な見通しを与えた上で、「因果性」概念と「志向性4概念を統一的に把握するスピノザの内在性の哲学の現代的な意義に関し、一定の見通しを得た。門脇俊介は、出来事存在論、欲求一信念モデルといった行為の因果説の考え方に対して、反因果説の側からどのような代案を提示できるかを、ハイデガー哲学に基づいて探究した。吉田聡は、現象学的観点から、「志向性」・「因果性」双方を視野に入れつつ、 「知識」や「行為」における自我のあり方に関する研究を行った。連携研究者・中真生は、レヴィナス研究を通じて、日常的な経験の根本において働く「因果性」と「志向性」の次元を、知識、行為といった問題と関連させつつ明らかにし、またその成果をケア倫理学へと展開するための基礎的研究を行っだ。
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Research Products
(36 results)