2009 Fiscal Year Annual Research Report
知識・行為・制度をめぐる「因果性」と「志向性」の哲学的解明
Project/Area Number |
18320005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一ノ瀬 正樹 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20232407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 澄夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30097282)
天野 正幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40107173)
高山 守 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
榊原 哲也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20205727)
鈴木 泉 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (50235933)
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Keywords | 知識 / 行為 / 制度 / 因果性 / 志向性 / 目的 / 理由 / 正当化 |
Research Abstract |
一ノ瀬正樹は、論文"Freedom and Subvaluationism"および「生命現象に基づく「自由」理解についての一考察」において、一般に必然性あるいは因果的決定論との対立のもとで論じられることの多い「自由」の問題に対して、「自由度」つまり「自由の程度」の概念を導入する道筋の可能性について本格的な検討を加えた。松永澄夫は、社会で関心がもたれている事柄を簡潔に表現する言葉、フレーズ等が広く流通することで、人々の意識がますますその事柄へ向かい、事柄を巡る新しい社会情勢が形成されてゆくさまを、さまざま事例で考察した。天野正幸は、プラントの『国家』および『法律』における、最善の国家を実現するための国政・法律・教育に関する考え方を検討した。高山守は、因果的な世界観を脱却し、世界は十分な理由によってこそ満たされているとの世界観を踏まえ、私たち人間の「自由」の内実を、家族論との関連で究明する基盤研究を行った。榊原哲也は、看護ケアにおける認識と行為の問題を現象学的に考察するとともに、現象学的記述の表現の問題も含め、志向性を記述する現象学的方法について包括的考察を行った。鈴木泉は、「因果性」概念と「志向性」概念を統一的に把握するスピノザの内在性の哲学が、知識・行為・制度という主題に対してもたらす現代的な意義を現代におけるもろもろの議論と突き合わせて解明した。門脇俊介は、行為の因果説のオルタナティヴとしての「表現としての行為」の概念を、「徳」の概念との連関を考慮しながら展開した。吉田聡は、知識・行為・制度の成立の基盤を開示するため、人間が世界および他者に対して関与する際の「志向性」の構造について現象学的な観点から考察した。連携研究者・中真生は、とくにレヴィナスの「女性的なもの」や身体をめぐる主題群の研究を通じて、日常的な経験の根本において働く「因果性」と「志向性」の次元を明らかにした。
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Research Products
(21 results)