2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
檜垣 立哉 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (70242071)
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Keywords | 生政治 / フーコー / 倫理 / レヴィナス / 責任 / フランス現代哲学 / ドゥルーズ |
Research Abstract |
生命論の政治学・倫理学的研究を推進するこの科研においては、今年度は、三つの軸で作業を展開した。第一の軸は、生命論的な事態が深く人間の政治的倫理的生に関与するあり方の解明であり、これは『生と権力の哲学』ちくま新書を公刊するとともに、そこで得られた生権力論・生政治学論の成果を展開させるために、フーコーを中心としたさらなる政権力論への探求を試みた。この方向性は、身体テクノロジー論・空間建築論・都市論・コミュニケーションとのクロスした領域において、政治性や倫理性に視点を与える試みに繋がっており、今年度はこの関係の邦文・欧文著作をとくに収集した。科研の最後に、生権力論の総括とその展望を示すというかたちで、成果を明らかにしたい。 第二の軸は、倫理学に関して、レヴィナスやドゥルーズなどのフランス現代思想の角度から、知見を深めた。この成果は、実存思想協会での発表、哲学雑誌での論考、大阪大学COE報告書などで提示した。そこでの議論の中心は、身体的生そのものがもつ無責任性と、そこからの責任性の立ち上げを思考することにある。生殖や性というテーマに深くかかわるこの領域は、フーコーに的な生権力論の展開にも繋がる。 第三の軸は、広く身体論・ジェンダー論・生命論に結びついていく領域で、その政治的・倫理的意義について考えるというものである。それ自身、リベラリズムやポストコロニアル的な発想とも連関するこれらの領域については、今年度は基本文献の収集などを行い、広く生命権力論的な展開を果たすための準備を行った。
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Research Products
(8 results)