2006 Fiscal Year Annual Research Report
場所をめぐる宗教的集合記憶と観光的文化資源の関係に関する宗教学的研究
Project/Area Number |
18320018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山中 弘 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (40201842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 勝彦 長崎国際大学, 人間社会学部, 教授 (10195357)
木村 武史 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (00294611)
笹尾 典代 恵泉女学園大学, 人文学部, 教授 (60308294)
松井 圭介 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 講師 (60302353)
寺石 悦章 四日市大学, 総合政策学部, 助教授 (00340414)
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Keywords | 集合的記憶 / ツーリズム / 長崎教会群 / 新上五島町 / 根獅子 / 世界遺産 / 沖縄 / 立山 |
Research Abstract |
本年度は、次の三つのことを中心に研究を進めた。(1)本研究の重要な概念である「集合的記憶」について問題意識を共有、深化させるための研究会の開催。(2)沖縄、立山、長崎平戸、新上五島町における調査。(3)中間的成果報告の発表を兼ねた学会でのパネルの実施。以下、順次、説明していく。(1)「集合的記憶」という概念を提出したフランスの社会学者アルバックスの議論を踏まえて戦没者慰霊碑の研究を行なっている粟津賢太氏を呼んで、第二次大戦中の日本が中国に建築した慰霊碑とその意味について発表していただき、この研究視角の可能性について相互に意見を交換した。(2)立山調査は、本研究の中心として据えた長崎カトリック教会群の調査との比較を意図したものである。立山信仰は、明治初年の神仏分離令で壊滅的打撃をうけるとともに、立山アルペンルートの開通によって山の観光登山化が急速に進んだ。ただ、立山信仰の中心の一つであった布橋潅頂会は、立山町によって再現され、一定程度の観光客を動員している。沖縄の場合は、首里城を中心とした儀礼・祭りの再現とともに、沖縄神話による天地開關の地である、沖縄北端の辺戸において、「お水取り」も復活しており、戦争と近代化によって途絶していた伝統的な宗教的行事の復興がおこなわれている。長崎教会群関連では、上五島、平戸を中心に調査をおこなった。具体的には、有川港鯨賓館の安永館長と新上五島町の観光協会、観光・物産課のそれぞれの担当者に聞き取りを実施するとともに、世界遺産暫定リスト入りの反応について伺った。また、平戸観光協会、殉教地根獅子地区の川上茂次氏に聞き取り調査をおこない、キリシタン関連の歴史と観光資源との関係を探った。(3)日本宗教学会第65回学術大会にて、「宗教とツーリズム-聖なるものの「現在」をめぐって-」というテーマのもとに、パネルをおこなった。
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