2007 Fiscal Year Annual Research Report
ファシズム期の宗教と宗教研究にかんする国際的比較研究
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18320022
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹沢 尚一郎 National Museum of Ethnology, 民族文化研究部, 教授 (10183063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新免 光比呂 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (60260056)
林 淳 愛知学院大学, 文学部, 教授 (90156456)
山中 弘 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (40201842)
深澤 英隆 一橋大学, 社会科学研究科, 教授 (30208912)
臼井 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
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Keywords | 宗教研究 / ファシズム運動 / 1930年代 / 西ヨーロッパ / 日本 / 神話研究 / ドイツ / フランス |
Research Abstract |
本年は本研究の第2年度であり、各自が個別に研究を進めるのと並行して、全体で2度研究会を組織して、問題意識の共有と理解の深化を図った。 本年度に研究会で取り上げたのは、日本、フランス、ドイツの事例である。とくにファシズム国家としてのドイツにおける文化政策との関係で、ドイツ民俗学やドイツにおける宗教研究をとりあげ、日本やルーマニア、イタリア等との比較を試みた。第二次世界大戦後、ファシズム期の歴史研究や民俗学研究、宗教研究をどう再評価するかについて議論が巻き起こり、未だ決着がついていないという事態は、同じような問題を抱える我が国にとっても重要な議題である。 神話研究とファシズム期の宗教政策や文化研究との関係についても、日本とフランスの事例が取り上げられ、議論が行われた。両国において神話研究とファシズム運動の間に密接な関係があったことが明らかにされたほか、第二次世界大戦後にその再評価や責任をめぐって大きな議論が生じていたことも共通する点であった。このことは、単に研究者個人の責任に帰されるべき問題ではなく、むしろファシズム運動が広範な文化運動であったことを示す事例として位置づけることができる。 そのほか、ファシズム運動が広範な政治運動とはならず、かつ世俗化された社会であるフランスやイギリスにおいて、シュールレアリズムやその流れをくむ文化運動の形で、文学・美術・思想・政治にまたがりながら、「崇高」を実現しようという試みが広範になされていたことが紹介され、これを疑似宗教的実践としてとらえうるか否かが検討された。これは翌年度も引き続き今後議論されるべきテーマである。
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Research Products
(3 results)