2008 Fiscal Year Annual Research Report
明治期における音楽録音資料・蝋管(ろうかん)の保存体制と公開手法の研究
Project/Area Number |
18320029
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
薩摩 雅登 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 教授 (80272657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 政満 東京藝術大学, 美術研究科, 教授 (50135183)
横溝 廣子 東京芸術大学, 大学美術館, 准教授 (90205229)
古田 亮 東京芸術大学, 大学美術館, 准教授 (20259998)
佐藤 真実子 東京芸術大学, 大学美術館, 学芸研究員 (00401498)
松村 智郁子 東京藝術大学, 音楽学部, 教育研究助手 (60436699)
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Keywords | 博物館学 / 音源 / 細菌除去 / 作品保存 / 明治期 / 新聞記事 / デジタル化 / 録音メディア |
Research Abstract |
東京藝術大学大学美術館では、約100年前に本大学音楽学部の前身である、東京音楽学校の邦楽調査掛(明治40年設置)が当時の最新メディアを用いて音楽を録音した、212本の「蝋管」を世界最大の邦楽コレクションとして所藏している。収録ジャンルは、清无、重太夫、富本、端唄、管野(一中節)、平曲、長唄、小唄、民謡、外記節(河東節)、大盡舞(巷間歌謡)、與浄瑠璃、琉球歌、幸若、文弥節、声明である。 ●保存体制に関して:再録音 2008年10月27日〜11月2日までの6日間に、115本の蝋管を1999年にアンリー・シャムー(Henri Chamoux, France)氏が開発した針接触方式のデジタル再録音機アーキフォン(Archeophone)にて再録音した。音源は、デジタル変換機を通してコンピューターに取り込み、WAV形式ファイルにて保存した。歌声や楽器などの音楽の聞こえ方はよく聞こえるものもあれば、雑音の中にかろうじて音声を感じられるものもあるため、全ての蝋管の再録音は叶わなかった。 ●蝋管の基礎調査に関して:海外実地調査 デジタル化した音源のノイズ除去およびウエブサイトにおける公開が進められている海外の機関にて調査を行った。主な訪問先は、スウェーデン国立図書館オーディオ・ビジュアル部門、スヴェリエラジオ・レコードライブラリー(ストックホルム)、フランス国立図書館、人類博物館民族書音楽研究センター(パリ)である。 ●蝋管の基礎調査に関して:明治期新聞調査 「蝋管」および「蝋管式蓄音機」 などに関連する明治期の新聞33社、1082記事を収集し、同時代の蝋管の活用について探った。新聞記事を辿ることにより、当時の社会状況の把握や、蓄音機が社会や人々に受入れられていく様子を知る事ができた。また、地方紙の記事にも視野を広げ、都市部以外の地域における蓄音機の初来日や受容に至る経緯および、蓄音機にまつわる諸事情を理解する事も可能
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