2008 Fiscal Year Annual Research Report
言語機能のモジュール性:脳内基盤との因果関係を求めて
Project/Area Number |
18320067
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
萩原 裕子 Tokyo Metropolitan University, 大学院・人文科学研究科, 教授 (20172835)
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Keywords | 語彙の産生 / ERP / NIRS |
Research Abstract |
本研究は、言語機能の脳内処理メカニズムについて、語彙の意味と形式の処理に焦点を絞り、事象関連電位(ERP)および近赤外線分光法(NIRS)を用いて実験を行い理論的な検討を行った。語彙の理解(comprehension)に意味と形式がどのように関わるかについて、日本語の修飾語と非修飾語の関係を取り上げ、事象関連電位を用いて文章課題で検討した結果、形式的整合性の照合に要する負荷を反映する遅い事象関連電位成分が前頭部で認められた。次に、語彙の表出(production)に意味と形式がどのように関わるかについて、事象関連電位を用いて単語の表出課題における脳活動を測定した。その結果、語の検索は言語処理固有のネットワークに基づくのではなく、より広範な知識の検索に関連する側頭葉の長期記憶へのアクセスと共通した神経基盤があるものと示唆された。さらに側頭一頭頂葉における語彙処理の神経基盤とその発達過程を探るべく、近赤外線分光法(NIRS)を用いて検討した。子供と大人を対象として、日本語(母語)と英語(非母語)の単語の復唱課題における脳反応について比較検討した結果、子供と大人が母語と非母語の単語を処理しているときの神経構造や脳機能に違いがあることが示唆された。言語の産生の側面は、これまで脳機能計測上の制約から見過ごされてきたが、言語機能の脳内メカニズムを明らかにするためには重要な側面であり、さらなる実証研究が望まれる。
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Research Products
(2 results)