2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 重郎 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30323223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼本 宏俊 国士舘大学, 体育学部, 教授 (40198560)
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Keywords | 楔形文字 / アッカド語 / アッシリア |
Research Abstract |
(1)2008年7月、山田(研究代表者)と柴田(研究協力者)がドイツで開催された国際アッシリア学会において、テル・タバン出土楔形文字アッカド語史料に基づいて、それぞれ古バビロニア時代と中期アッシリア時代における当該地域の政治的・社会的・文化的諸相についての研究を発表した。これによって、前2千年紀のハブル川流域の状況を伝えるテル・タバン出土の新データとその分析が、初めて国際学会で報告された。 (2)2008年9月、山田と柴田が、2週間〜3週間、テル・タバン(ハッサケ)において、今年度の発掘(代表:沼本[研究分担者])で新たに出土した総計53点の楔形文字アッカド語文書(粘土板文書、土製円筒碑文、土製釘碑文、土器片銘文、レンガ碑文)の解読・研究・資料整理をおこなった。新しい出土資料には、従来の中期アッシリア時代文書には知られていない、より早期(前13世紀初期)の建築記念碑文が含まれており、中期アッシリア時代のテル・タバン支配者の系譜をさらにさかのぼるデータが確認された。また、新たに出土した中期アッシリア時代粘土板文書は魔術・医術文書であり、これはテル・タバンには行政文書庫のみならず科学文書や文学文書を含む図書庫が存在していたことを示唆しており、今後の発掘がメソポタミア文化そのもの解明に貢献する図書庫の発見をもたらす期待が高まった。新しい文書資料の多くは、これまでに出土していた文書と内容的に密接に関わるものであり、今後、並行して研究することとし、研究計画の見直しを行った。 (3)2007年度に発見された楔形文字文書に関して、山田と柴田が共同で概報(英文)を作製し、沼本編集の2007年度の発掘と文書研究についての単行本にこれを出版した。
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