2008 Fiscal Year Annual Research Report
英雄の条件-近現代ヨーロッパにおける軍事英雄観の展開
Project/Area Number |
18320122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 淑彦 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (30179163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 一美 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (00278566)
川本 真浩 高知大学, 人文学部, 准教授 (20314338)
長井 伸仁 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (10322190)
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Keywords | 軍事英雄 / 英雄崇拝 / 国民意識 / ナポレオン神話 / ヒンデンブルク神話 / 凱旋門 / 無名戦士 / 戦没者追悼 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度であり、研究成果を取りまとめ、成果報告書を2009年3月に発行した。 杉本淑彦は、ナポレオン観研究を継続する一方で、現代における靖国神社信仰の実態調査もおこない、フランスと日本の比較検討を進めた。フランスにおいては、特定の高級将軍に「英雄性」を見ようとする傾向が強いのに対して、日本においては、無名の一般兵士総体を「英雄」として顕彰する傾向が強いことを確認した。戦争の敗者なのか勝者なのか、そして戦争責任をどこに帰するのかという国民心性の違いが、そのような差違を生んでいると考えられる。 原田一美は、ヒンデンブルクに焦点を当てて、ワイマル共和国反対派がその軍事神話化に成功する他方で、共和国擁護勢力がそれに対抗しうる「神話」をつくり出すことに結局は成功しなかったことを明らかにした。 川本真浩はイギリスで史料調査をおこない、その結果、20世紀初頭のイギリスにおいては、特定の人物ないし勢力を軍事英雄として称揚する傾向はさほど強くなかったことを、地方都市で開催される歴史パジェント(ページェント)を分析することで明らかにした。軍事英雄観の育成による「国民意識」の形成という、従来の支配的見解への修正を迫る知見である。 長井伸仁は、ヨーロッパ全体を視野に入れ、第一次世界大戦以降の諸戦争の戦没者慰霊の儀礼方法には共通性が多々見られることと、共通性があること自体が、顕彰には政治的意図がこめられていることを物語っているとの考察を深めた。
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Research Products
(2 results)