2006 Fiscal Year Annual Research Report
噴火湾北岸縄文エコ・ミュージアム構想とサテライト形成
Project/Area Number |
18320125
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小杉 康 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (10211898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 亨 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (80292308)
橋本 雄一 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (90250399)
鈴木 正章 道都大学, 経営学部, 教授 (30226550)
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Keywords | エコ・ミュージアム / サテライト / 小幌洞窟遺跡 / 続縄文文化 / 擦文文化 / 有珠6遺跡 / 貝層剥離標本 / コア・ミュージアム |
Research Abstract |
噴火湾北岸縄文エコ・ミュージアムのサテライトの候補である小幌洞窟遺跡(豊浦町)の発掘調査・測量調査と、コア・ミュージアムの候補である噴火湾文化研究所(伊達市)の展示準備を実施した。 小幌洞窟遺跡の発掘調査では、土層堆積(貝層形成)と洞窟内空間利用についてのデータを取得することを目的として、1961年北海道大学医学部解剖学教室によって発掘調査された際のBトレンチの再発掘をおこなった。洞窟内調査では、Bトレンチの土層断面で、洞窟奥側から入り口側に向かって、貝殻を多量に含む土層が傾斜して堆積する状態を確認できた。その主体は続縄文文化のものであり、入り口付近で擦文文化の堆積層に移行する。その間に落盤層が形成されており、両者の境界が明瞭に認められた。トレンチ内で確認できた擦文文化の遺物包含層の大半は、同一箇所で幾重にも灰層が堆積した結果できたもので、先行する続縄文文化の空間利用とは異なった様相であった。Bトレンチは貝層が途切れる砂層を最下底面(洞窟内で現地表下約1mの深さ)として終わっていた。しかし、砂層中にも遺物が包含されていたことから、洞窟の利用磁気は縄文文化晩期まで遡る可能性がある。また、トレンチの底面近くでは、赤色物質が付着した礫や貝殻がまとまって発見された。Bトレンチの埋土から回収された遺物には、旧調査時に発見されたものと同種のものや、新たに確認された銛頭や釣針などがみられた。 測量調査では写真測量とレーザー測量とを併用して行い、洞窟の内部及び周辺の切り立った崖面の測量を実施した。 平成18年度調査の成果の公表を、北海道考古学会大会(札幌市)と地元豊浦町での企画展示会とで実施し、住民参加型の縄文エコ・ミュージアム構想の普及を行った。 コア・ミュージアムの候補である噴火湾文化研究所には、施設の一角を借り受けて、人類遺跡サテライトの1つとなる有珠6遺跡の貝層剥離標本の展示を実施した。
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