2006 Fiscal Year Annual Research Report
システムとしてのヨーロッパ行政法の形成-基本原理・基本原則の分析
Project/Area Number |
18330006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 隆司 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (70210573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
交告 尚史 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40178207)
斎藤 誠 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00186959)
仲野 武志 東北大学, 大学院法学研究科, 助教授 (50292818)
伊藤 洋一 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (50201934)
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Keywords | ヨーロッパ行政法 / 行政裁量 / 不確定法概念 / 学問法 / システム間関係 / デンマーク計画法 / 環境配慮 |
Research Abstract |
今年度はまず、ヨーロッパ行政法に造詣が深いドイツのシュミット-アスマン教授が、ヨーロッパ行政法の基本原理との影響関係を明らかにしつつ、ドイツ行政法の基本原理の全貌を分析した主著を、翻訳した上で、同教授を日本に招聘し、行政法のヨーロッパ化・国際化について議論する機会をもった。特に最近の動きとして、(1)政府調達法の分野で、ドイツの連邦憲法裁判所が、EC指令の適用されない調達契約についても、EC指令水準ないしそれ以上の競業者の権利保護を要求したこと、(2)ドイツでオルフス条約を受けて環境保護のための団体訴訟が法律で定められたが、団体の主張できる違法事由は個人的権利を保護する規定の違反に限定するという、妥協的な立法を行ったため、今後この法律を裁判所が拡張解釈して適用する可能性があること、などを知ることができた。 個別の研究としては、(1)ドイツの行政裁量について、旧来の裁量・不確定法概念二分論および不確定法概念に対する裁判所の完全コントロールの原則が、ヨーロッパ化により、特に若手研究者により強く批判されていることが分析された。また、(2)ドイツにおける学問と法との関係に関する議論が、2005年の学会を契機に深化しており、システム間関係を法概念化・法理論化する興味深い議論になっていることを、詳しく分析した。ほかに、(3)日本に紹介がほとんどないデンマークの計画法の構造を分析し、特に、自治体における計画策定権限が議会にあり、議会が住民の議論を喚起すること、国-県-コムーネが段階的に計画を具体化する構造がうまく機能していること、空間利用計画に環境配慮の制度が強く組み込まれていることを、知ることができた。
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