2008 Fiscal Year Annual Research Report
システムとしてのヨーロッパ行政法の形成-基本原理・基本原則の分析
Project/Area Number |
18330006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 隆司 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70210573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 洋一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (50201934)
交告 尚史 東京大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (40178207)
斎藤 誠 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00186959)
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Keywords | ヨーロッパ行政法 / 行政法当 / 一般法原則 / 違憲審査 / EC指令 |
Research Abstract |
研究成果の一つとして、2004年以来のフランス憲法院および国務院の判例の分析に基づく、EC法と加盟国の憲法との階層関係に関する研究が挙げられる。フランスでは1990年代初頭以降の憲法改正により、ヨーロッパ統合に関わる規定が憲法に置かれるようになると同時に(憲法のヨーロッパ化)、「ヨーロッパ法の憲法化」が進行した。すなわち、憲法院および国務院は、EC指令を国内施行する義務を憲法上の義務と位置付けたのであるが、その結果、この義務に憲法上の限界も課され、間接的にではあれ、EC指令の違憲審査の可能性を認めることとなった。かくして、加盟国法に対するEC法の絶対的優越を主張してきたEC判例との間で原理的に厳しい緊張関係が生じている。こうした事情はドイツやイタリアでも同様であるが、フランスは、EC裁判所による保障が行われ得ない、フランス憲法に固有な憲法原理に限り、EC指令の間接的違憲審査の可能性を認めることにより、緊張関係の緩和を図る点に特徴がある。 以上の研究は、行政法の基礎になる各国憲法とヨーロッパ法との間の複雑な相互関係を、フランスを中心にしつつもドイツ・イタリアと比較しながら明らかにする基礎理論の研究として意義を持ち、正に本研究の研究期間に進行した動向をいち早く、精緻かつ理論的に分析するもので、ヨーロッパ行政法の基層の分析として今後重要性を増していくと期待される。
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