2007 Fiscal Year Annual Research Report
高年齢者に対する雇用政策に関する基礎的研究-差別禁止アプローチの限界と克服
Project/Area Number |
18330011
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
櫻庭 涼子 Kobe University, 法学研究科, 准教授 (20362808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 伸哉 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10283855)
関根 由紀 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (60379493)
|
Keywords | 年齢差別 |
Research Abstract |
平成19年度は、日本における高齢者の雇用政策と、高年齢者に多いパートタイム労働者に対する差別規制についての研究を行い、これに併せて、年齢差別・パートタイム労働に関する外国法研究も実施した。 年齢差別に関しては、外国法研究として、一昨年に差別禁止法を新たに導入し、日本でもその動向が注目されてい旨るドイツ・イギリスに関する文献調査、EC指令に関する欧州司法裁判所判決等を分析した。その結果、定年制を例外とする場合が多いこと等、男女差別等とは異なるアプローチが用いられている一方で、高年齢者の雇用促進のための取扱いまで「差別」として禁止されてしまう等の問題が発生していることがわかった。今年度はアメリカの学説の検討も行ったが、そこでも年齢差別の立証の困難さが指摘されている。日本においても、平成19年改正雇用対策法10条により、募集採用時に年齢にかかわりのない機会を与える義務が設けられたが、省令に多くの例外が定められ、その実効性に疑問が投げかけられている。これらは総じて年齢差別禁止アプローチの限界を示すものである。 パートタイム労働に関する研究としては、日本の短時間労働者法の課題と、EU及びその加盟国の動向等についての文献調査を行った。その結果、EUにおいては、パートタイム労働者の均等待遇が確保されていること、これに対し、平成19年改正短時間労働者法は、一定の要件を満たす場合に限ってパートタイム労働者に対する差別を禁止したが、その適用対象者は極めて少数になると予想されており、実効性の面で課題があること等が明らかになっている。
|