2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330014
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
福井 厚 Hosei University, 大学院・法務研究科, 教授 (60033180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 明 法政大学, 大学院・法務研究科, 教授 (50386330)
後藤 昭 一橋大学, 法学研究科, 教授 (00143256)
水谷 規男 大阪大学, 大学院・高等司法研究科, 教授 (20211584)
葛野 尋之 立命館大学, 法学部, 教授 (90221928)
中川 孝博 龍谷大学, 法学部, 教授 (40330352)
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Keywords | 未決拘禁 / 未決拘禁の執行 / 代用監獄 / 逮捕 / 勾留 / 保釈 / 監獄法改正 / 受刑者 |
Research Abstract |
今年度は、3ケ年計画の初年度であり、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案」の検討、『対案』の翻訳、内外の実地調査の3本の柱をたてた。ところが、上記「法律案」が予想以上の速さで、2006年6月2日に成立したため、『対案』の検討より、この『法律案』の検討を優先的課題とせざるを得なかった。この検討の成果は、本共同研究者4名(福井厚、水谷規男、葛野尋之,中川孝博)が寄稿している「特集未決拘禁制度の改革」(季刊刑事弁護47号〔2006〕)に反映されている。また、この新法の未決の部分の問題点を深く掘り下げた論稿として、葛野尋之「警察留置と『捜査と拘禁の分離』」(立命館法学306号〔2006年〕48-96頁)および同『警察留置と弁護人接見』(立命館法学307号〔2006年〕111-147頁)を挙げることができる。なお、後藤昭が、2006年5月25日に、参議院法務委員会において、上記「法律案」について、参考人として意見陳述を行った。 実地調査としては、次年度の外国調査の予備調査を行った。まず、緑大輔が、2006年8月16-23日、合衆国カリフォルニア州における未決拘禁事情の調査を行った。ついで、2006年10月30-31日には、葛野尋之がイギリスを対象に同様の調査を行った。なお、福井厚「ドイツにおける過剰収容」(鈴木茂嗣先生古稀祝賀論文集・下巻〔2007年〕759頁)は、次年度に実地調査を予定しているドイツを対象として過剰収容に関する訴訟の動向を整理したものである。 国内の実地調査としては、2006年12月11日に那覇沖縄拘置支所の施設参観を行った。ついで、2007年2月27日には東京拘置所の施設参観を行った。また、2007年3月5日には、岡山県警の独立の留置施設(伊福町)の施設参観を行った。いずれの施設参観も、予め「質問票」を先方に送付して実施した。 その他、今年度のケース研究として、豊崎七絵の引野口事件を挙げることができる。これは、代用監獄における同房者供述の問題につき、2007年2月5日に公判(福岡地裁小倉支部)を傍聴し、同2月14日には同事件の弁護を担当している横光幸雄弁護士にインタビューを行ったものである。 なお、関連業績として、木谷明「〔講演〕刑事事実認定の理想と現実」(2006年10月15日、於:法政大学)がある。 以上の次第で、「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」並びに同法の関連法規及び関連施行規則等の検討を優先せざるを得なかったため、『対案』の翻訳・検討を、次年度に繰り越さざるを得なかった。その結果、年度内に補助事業を完了することが困難になった。もっとも、『対案』の翻訳は2007年7月半ばに完成し、現行のドイツ刑事訴訟法と『対案』との対照表は、法学志林105巻3号に掲載される予定である。
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Research Products
(7 results)