2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス環境におけるシステムの信頼とプライバシー保護--法学・工学的アプローチ
Project/Area Number |
18330019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林田 清明 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (50145356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝造 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40152136)
松村 良之 千葉大学, 法経学部, 教授 (80091502)
赤間 清 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50126265)
新田 克己 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (60293073)
長谷川 晃 東京大学, 大学院法学研究科, 教授 (90164813)
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Keywords | 社会的優先財 / ADR / プロファイリング / 法の競争 / 危険の国際化 / Webベースシステム / 個人情報漏洩 / CGIプログラム |
Research Abstract |
システムの信頼性の確保およびシステム上のデータについてのプライバシー保護に関して、法と経済学アプローチから、いかなる制裁・刑事制裁がシステムの信頼性とプライバシー保護の効率的均衡点をもたらすかを検討した。その際にはプロファイリングというプライバシーと人権の抵触領域も検討した。また、ユビキタス・コンピューティングを支える諸技術が、テロ対策・組織犯罪対策などの「危険の国際化」に対応する政府間協力の場面で利用されるが、これが個人の権利にもたらす影響と国際協力についての憲法的統制の可能性を検討した。 情報工学の面からは、地域における情報共有の手法として、住民からの投稿情報を地図上に貼り付け、相互に参照しあうシステムを開発した。どの投稿者のどの投稿ならば信頼できるかを推測する手法を提案し、実験によって有効性を確認した。また、Webベースシステムは、CGI、ブラウザ、HTML、SQLなどにまたがる複雑なプログラムであり、権限設定ミスによる個人情報漏洩や、システムのセキュリティホールにより、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの不正アクセスを受ける恐れがある。このため、仕様からのCGIプログラムの自動生成の枠組みを用いて、Webベースシステムの作成のコストを低減し、安全性の高いシステムを構築、維持する技術について検討した。 さらに、公平・分配的正義の観点から、社会的優先財としての情報の意義と射程のあり方と個別情報供与のためのシステム的機制とのバランスの問題を考察した。ユビキタス環境という新たな社会的事態に対する法規整はいわば法の欠缺状況であり、効率的で社会的に望ましい法的制御のための新たな法規範の定立が求められている。このために合理的法創造の理論モデルを検討した。
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Research Products
(12 results)