2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス環境におけるシステムの信頼とプライバシー保護――法学・工学的アプローチ
Project/Area Number |
18330019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林田 清明 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (50145356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
松村 良之 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (80091502)
赤間 清 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50126265)
新田 克己 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60293073)
長谷川 晃 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90164813)
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Keywords | Webアプリケーション / 信頼性 / 情報利用の憲法的保護 / プライバシー / パナプティコン / シノプティコン / Bluetooth / フェロモン |
Research Abstract |
ユビキタス・コンピューティングに共通する社会空間上の特質を把握し、これに対応すべき法原理の諸条件をまとめた。まず、信頼性の高いWebアプリケーションを構築するために、ルールを用いた新しい並列システム仕様記述方法を与え、それからWeb環境で動作するプログラムを自動生成する研究は、システムの安全性の自動的な検査とシステムの信頼性の向上を可能とする。つぎに、インターネットとBluetoothの2種類の通信方式を利用した情報の効率よい伝搬方法の研究と、交渉発言記録を時系列解析し、話題の推移の抽出と、話題間の関係を視覚化するツールを開発したのは、ユビキタス環境システムの利便性と信頼性を得る上で重要である。このほか公共図書館の利用における情報アクセス支援を対象としてプライバシー問題の具体的検討を行った。上記のような特質においては、現代社会の匿名性と監視のメカニズム、つまりフーコーやバウマンのいうパナプティコン的状況(少数の権力者が多数を監視する)から、シノプティコン的状況(多数者が少数者を監視する状態)へ、さらに周望的(ペリオプティック)状況へという現代社会の変化と関連づけうるのではないかが議論された。法制度的には、ユビキタス・システム環境自体が現えないように設計・利用されているために、ユーザーにとっては、自分の情報のどれがどのように収集されているか知りにくく、システムに対する不信感が生まれる。これを克服するには、個人情報の収集とその利用について、ユーザーの同意と許可を得ることが求められる。ユーザーによる情報収集への理解と匿名性の確立は、システムに対する信頼をもたらしうると期待できる。
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Research Products
(13 results)