2007 Fiscal Year Annual Research Report
オープン・イノベーションの戦略とマネジメント・コントロールに関する経済分析
Project/Area Number |
18330048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊谷 達弥 Kyoto University, 経済学研究科, 准教授 (80183789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椙山 泰生 京都大学, 経営管理研究部, 准教授 (70323467)
澤邉 紀生 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (80278481)
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Keywords | オープン・イノベーション / アウトソーシング / R&Dマネジメント / 取引費用論 / 知財管理 |
Research Abstract |
上場する全製造企業に対してオープン・イノベーションに関する2種類のアンケート調査を行った。本社直轄の研究開発部門に対するものと、事業部の研究開発部門に対するものである。前者について、本社直轄の研究開発部門が外部から技術を導入するのは、(1)自社内で開発する技術についての全社的なロードマップなどが作成されているとき、(2)当該プロジェクトが自社の事業部にとって新規性の高いとき、(3)プロジェクトの新技術が当該研究部門のコア技術を活用したものではないとき、などであることが判明した。このうち(1)は、予定する技術開発のプログラムが全社的に共有されているとき内部の調整がスムーズに行われやすく、外部技術の導入が促進されると考えられる。また(2)は、技術的不確実性が高いときに、同じく外部技術の導入が促進されること、(3)は、自社が得意としていない技術分野のプロジェクトの場合か、あるいは自社の中心的から外れた周縁的なプロジェクトの場合に技術導入がなされやすいこと、を示している。また、以上のうち(2)、(3)の関係は、事業部の研究開発部門についても成立することがわかった。これに対して、外部への技術提供・供与が行われるのは、それを生み出した研究開発プロジェクトが、新技術の使用目的やアプリケーション市場が幅広いものと当初から想定されている場合であることがわかった。たとえ当該技術の適用範囲が広くても、外部への技術提供は、一般に自社内の他部門からの反対に会いやすいが、当初から、技術の適用範囲が広く想定されていれば、そのような反対が相対的に抑制されると考えられる。以上から示唆されることは、オープンなイノベーションがなされるか否かについては、技術的必然性だけでなく、組織内の要因が重要であるということである。
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