2006 Fiscal Year Annual Research Report
非経済的価値の国際的相違・対立と新しい貿易体制の構築に関する研究
Project/Area Number |
18330050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 顕三 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00175902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 一治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00183038)
古沢 泰治 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80272095)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (70261394)
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Keywords | グローバリゼーション / 混合寡占 / 直接投資 / 児童労働 / 政党間競争 / 時間整合性 |
Research Abstract |
本年度は、(1)グローバリゼーション下における新しい企業行動の分析と政策分析、(2)非経済的価値の国際的相違とその下での貿易体制の分析、(3)新しい貿易体制構築のための交渉およびその体制の維持に関する分析、という3つの大きな研究課題について次のような研究を行った。 第1に、移行経済や地域統合が進められる地域において各自治体や各国政府が育成・維持する公企業間に自由な競争を認めることが社会全体に厚生悪化をもたらすメカニズムを解明した。従来の混合寡占の議論では考えられてこなかった公企業と民間企業間の先手・後手についての内生的決定メカニズムを考慮しつつ,公企業の民営化がもたらす厚生効果を再検討した。 第2に、為替レートの変動が企業の直接投資行動やその結果として生じる利潤に与える影響について分析した。通常、企業の本社のある国の通貨が安くなれば、輸出しやすくなるために企業の利益が増えると考えられている。しかし、本研究では企業の直接投資行動を考慮に入れれば、本社のある国の通貨が安くなっても、企業の利益が減る場合があることを示した。 第3に、グローバリゼーションの進展と児童労働の関係を分析した。国際労働機関(ILO)は、国際労働基準に基づいて児童労働を禁止するとしている。本研究では貿易取引の拡大、移民の増加、外資の増大などで表わされた様々なグローバリゼーションが児童労働に与える影響を分析した。 第4に、政党間の競争が政策の選択に与える影響を分析した。複数の政党間で政権が入れ替わる民主政治では、政権党が時間非整合的な利得構造を持ち、便益が将来にわたり持続するようなプロジェクトは先延ばしされる傾向がある。しかし、プロジェクトが分割可能なときには、徐々にプロジェクトを遂行していくことにより時間非整合性を克服できることを理論的に示した。
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Research Products
(6 results)