2009 Fiscal Year Annual Research Report
非経済的価値の国際的相違・対立と新しい貿易体制の構築に関する研究
Project/Area Number |
18330050
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 顕三 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 教授 (00175902)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 城太 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80240761)
古沢 泰治 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80272095)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
|
Keywords | 国際寡占理論モデル / サービス貿易 / 貿易の自由化 / 直接投資 / 環境 / 独占的競争モデル / 金融制度 |
Research Abstract |
本研究では、(1) グローバリゼーション下における新しい企業行動の分析と政策分析、(2) 非経済的価値の相違とその下での貿易体制の分析、(3) 新しい貿易体制構築のための交渉およびその体制の維持に関する分析、という3つの大きな研究課題について理論的な分析を行った。本年度の主要な研究成果は以下の通りである。第1に、国際寡占理論モデルを用いて、財貿易の自由化が進んだとしても、財貿易に伴うサービスの自由化(たとえば流通関連の直接投資の自由化)が一緒に進まなければ消費者が損失を被ることを示した。これは財貿易との関連でサービス貿易の自由化の重要性を示しており、政策的含意を持つ重要な貢献であるといえる。第2に、生産活動や消費活動から汚染が発生するような開放経済において、貿易政策を用いて環境水準をコントロールすることとは必ずしも望ましくないことを示した。同様に、食品などの財で品質に差異がある場合、輸入に関税を課せると外国企業が高品質の財を供給する誘因を低めてしまう可能性を示した。また、国際間で資本が移動するような独占的競争モデルを用いて、環境政策の国際的な差異が企業の集積に対して与える影響も分析した。第3に、金融制度の不完全性が産業構造に与える影響について分析を進めた。金融制度が不完全な国ほど、同一産業内において企業の生産性のばらつきが小さくなることを理論的に示すとともに、金融制度が不完全な世界では財貿易と資本移動が補完的であるという新たな知見を得た。これは新しい貿易体制の構築のための貿易交渉において金融制度の改革・整備も重要であるという点を指摘しており、政策的にも重要な意味を持つ。
|
Research Products
(10 results)