2006 Fiscal Year Annual Research Report
経営者のヴィジョンおよび組織能力の違いの源泉とその違いのもたらす経済効果の分析
Project/Area Number |
18330051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧井 克也 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 助教授 (70346138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆一 東京工業大学, 情報理工学研究科, 助教授 (00397704)
佐々木 勝 大阪大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (10340647)
松繁 寿和 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 教授 (50219424)
石田 潤一郎 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 助教授 (40324222)
平田 憲司郎 大阪大学, 大学院経済学研究科, COE研究員 (70423209)
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Keywords | ヴィジョン / 組織能力 / 昇進 / 人事制度 / 教育制度 / 債務 / 人材の割り当て / 環境の変化 |
Research Abstract |
本研究は、経営者のヴィジョンと組織能力の違いの源泉とその違いのもたらす経済効果を分析していくものであるが、18年度は主として、それらの分析を本格化させるための基礎作業の次期となった。 理論的には主に二つの側面から分析が行なわれた。一つは、企業の組織能力と有能な人材の配分の問題である。企業の組織能力と人材の企業間の割り当て問題を瀧井が、その割り当てのあり方が債務の蓄積の蓄積によりどのように変化するのかという問題を平田と瀧井が、さらには、教育システムの違いが割り当て問題にどのように影響を与えるのかということを田中と瀧井が分析をつづけている。もう一つは、企業内のプロモーションシステムのもつインセンティブ構造の理論的分析である。石田は行動経済学上の知見を取り入れながら、この問題の理論的考察を精力的に行なっている。これらの分析は今後も更に継続されると同時に、今後の実証分析を行っていく際の理論的視角を提供する。 実証的には、18年度の主たる活動は、データの購入、データの構築、データのクリーニングにあてられてきた。先ず第1に、ダイヤモンド社と数度にわたる交渉を行い、会社情報、事業所情報、役員管理職員情報に関するデータを購入し、日経ニーズのデータとのマッチングを佐々木が行なった。現在、ダイヤモンド社のデータの統計的特質を他の統計と比べながら調べている。次に、ダイヤモンド社の役員管理職員情報とマッチさせるための、1966年から1989年にわたる大学のランキング化の作業をこの間行なってきている。瀧井は河合塾の協力の下、過去の河合塾の大学ランキングをデータ化する作業をつづけている。最後に平田は日経会社年間と会社四季報の情報を使い、企業の統廃合にかかわる情報をデータ化する作業に取り組んでいる。これらのデータ作成作業は、来年度や再来年度において、統計的に様々なファクトをあぶりだすだけでなく、上記の理論的分析の中で生み出された仮説を検証するための重要なデータセットを提供する。 また、こういった大量データ観察の準備を整える一方で、地道なフィールドワークに基づく調査も進められてきている。松繁は霧島酒造への聞き取り調査等を行い、「経営品質向上」のための人事制度のあり方を細かく調べてきている。こういった個別企業への聞き取り調査は、大量データ観察を補完するものとして非常に重要である。 上記が今年度行なった主たる研究活動ではあるが、個別構成員はこれに付随する形ですでに様々な成果も生み出してきている。具体的なこれらの成果の中で論文となったものは「研究発表」の項目で列記しておいた。それ以外にも、明示してはいないが、各種研究会における成果発表は適宜行なわれている。
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Research Products
(7 results)