2007 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル時代における文化産業-ビジネス環境の変化と創造性のマネジメント
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18330054
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河島 伸子 Doshisha University, 経済学部, 教授 (20319461)
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Keywords | 著作権法 / コンピューターゲーム / DRM |
Research Abstract |
本年度は、著作権の違法な使用に対する自己防御として、コンテンツ業界がその商品に埋め込んできたデジタルライツマネジメント(DRM)が、場合によっては、著作権の保護を超える範囲で作品保護に資することにもなっており、その結果として、利用者・消費者の作品に対するアクセスが制限されている状況について調査、考察した。 この現象に関連して、特にコンピューター・ゲームの改変と著作権をめぐる日米の一連の訴訟に着目した。1990年代より、コンピューター・ゲームの内容、ゲームの進行などを改変するためのソフトウェアが普及するようになった。これらの製造者を相手とする著作権裁判も日米ともに展開されてきており、アメリカにおいては決定的な判決は出ていないものの、日本においては、改変ソフトはほぼ全面的禁止に至っている。特にアメリカにおける判例では、裁判所がコンピューター・ゲーム産業の経済特性を的確に理解していない。また、そもそも従来の著作権法は、情報の受け手を、情報の受信者、「カウチポテト」的な消費者としてとらえており、彼らが商品と双方向的に関わっていくことで新たな作品を生む担い手となるという事態を想定していない。しかし、デジタル文化時代にあっては、消費者による既存のコンテンツの編集にこそ、新たな創造力が見いだされる。彼らの創造性に各国の著作権法は対応していないことは、大きな問題である。 本研究では、アクティブな消費者、ミニ著作者たちを今後著作権法上、どのように位置づけていくかを、今後の著作権法上の重要な政策的課題として指摘した。
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